2021 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental radioactivity research on radio-iodine contamination by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident
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18K05205
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大野 剛 学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射性ヨウ素 / ICP-MS / MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、福島原発事故の初期被ばく線量評価で重要な放射性ヨウ素の汚染実態とその後の環境動態を明らかにすることを目的とし、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いた高感度放射性ヨウ素分析法の開発を進めている。本年度は、放射性ヨウ素の迅速高感度分析を達成するための溶液試料導入法の改良を進め、福島県で採取された天然環境試料へ応用した。具体的には従来のネブライザー試料導入法を用いて測定溶液に亜硝酸ナトリウムと硝酸を加えることにより、溶液試料中のヨウ化物イオンを元素状ヨウ素に酸化することにより5倍程度の高感度が達成できることがわかった。また、天然試料から微量放射性ヨウ素を抽出する方法として、加熱気化法の改良を検討した。具体的には電気炉とガスラインを整備することにより、従来より多くの試料からヨウ素を抽出できるようになったため、低濃度試料について分析が可能になった。これらの開発した分析法を用いて、福島県で採取された環境試料中に含まれる放射性ヨウ素の濃度分析をおこなった。 福島県で採取された土壌コア試料の放射性ヨウ素の深度分布を調べ、放射性セシウムと比較を行った所、セシウムについては事故後10年たっても30cm以深には到達していないのに対して、放射性ヨウ素については30cm以深に到達していることが明らかとなった。これらの結果は土壌表層において放射性ヨウ素/安定ヨウ素の比率が時間とともに小さくなっていくことを示唆しており、生態系においても放射性ヨウ素/安定ヨウ素の比率が低下したと考えられる。
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Research Products
(4 results)