2019 Fiscal Year Research-status Report
藻類細胞を利用した金属ナノ粒子の生成および放射光X線分析による粒子生成機構の解明
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18K05206
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
保倉 明子 東京電機大学, 工学部, 教授 (20343569)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 植物細胞 / 先端計測 / 資源回収 / ファイトマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,藻類細胞を利用した有用金属の回収に資する知見を得ることを目的としている。特に藻類細胞内で生成される金属ナノ粒子の生成に着目し,放射光X線分析を用いて,その生成機構の解明を目指している。 2019年度は,単細胞藻類Pseudococcomyxa simplexやChlamydomonas reinhardtiiに塩化金(III)酸溶液を添加し,細胞内で生成された金ナノ粒子のSEM観察を実施した。特に,細胞の内部での様子を観察するため,試料調製方法について検討した。クライオミクロトームを用いて,急速凍結した細胞の切片(厚み10 μm)を作製したところ,細胞内において金ナノ粒子の存在を確認することができた。数十nmサイズのナノ粒子が多数存在することが示された。金のL3のX線吸収微細構造スペクトル解析では,添加時間が数分と短くても,金属イオンの還元は進行していたが,SEM観察の結果,ナノ粒子が生成されるまでには,数時間を要することが明らかになった。 硝酸銀を添加した藻類細胞では,銀ナノ粒子が生成していた。一方,塩化パラジウムを添加した藻類では金属ナノ粒子は生成されず,パラジウム錯体として蓄積されていた。放射光X線分析により,パラジウムはアンミン錯体のように窒素で配位した化学種として,高蓄積されていた。 現在,細胞内で生成した金ナノ粒子について,水溶液中の還元反応に対して触媒能があるかどうか検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りの進捗状況である。学会発表等で,成果を公表している。 しかし,2月以降は,新型コロナの影響で研究がストップしている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞に蓄積されたセレンやテルルについて放射光X線分析を実施し,これらの元素が細胞内でどのような化学形態になっているか明らかにする。金ナノ粒子については,錯イオンから金属への還元速度や粒子化の詳細についての知見を得る。
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Causes of Carryover |
2019年度に,蛍光X線分析装置の修理が発生した。これに伴い,関連する実験を次年度に実施することにしたため,その分の予算を繰り越した。 次年度には,関連する物品を購入する予定である。
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