2019 Fiscal Year Research-status Report
機械学習分子シミュレーションと実験による粘土鉱物界面水物性の解明
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18K05208
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
奥村 雅彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (20386600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 基之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (40370407)
荒木 優希 立命館大学, 理工学部, 助教 (50734480)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機械学習 / 原子間力顕微鏡 / 粘土鉱物 / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の一つである粘土鉱物表面における水分子の構造について、粘土鉱物表面にカチオンが存在する「白雲母」と、カチオンの存在しない「カオリナイト」について、周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)によって観測を行い、それらの表面の水分子が作る構造を明らかにした。そして、粘土鉱物部分を量子密度汎関数法で、水部分を古典密度汎関数法で記述する3D-RISM-SCF法によるシミュレーションを行った。その結果、FM-AFMの実験結果と整合する結果を得ることに成功した。これにより、粘土鉱物表面における水和構造発現メカニズムを明らかにすることができた。 一方、粘土鉱物の機械学習分子動力学法については、新しく提案された効率良く多原子種を扱うことが可能な手法の有効性が期待されていため、その手法を用いてテスト計算を行なったが、少なくとも粘土鉱物系では有効でないことがわかった。その一方で、従来手法では効率的に多原子種を扱うことはできないが、効率が下がっても実用上は問題ないことがテスト計算を繰り返すことによって判明したため、従来手法を用いることにした。そして、最も単純な粘土鉱物の一つであるカオリナイトについて、十分な数の学習データを密度汎関数法によって生成し、従来手法を用いて学習を行った。その結果、カオリナイトの構造を精度良く再現できる機械学習力場の構築に成功した。そして、この成果を、日本原子力学会2020年春の年会で発表した。一方で、水については先行研究によって従来手法による機械学習分子動力学シミュレーションがうまくいくことが知られているため、今年度の研究成果は粘土鉱物-水界面の機械学習シミュレーション実現に向けて大きな前進と言える。 また、機械学習分子動力学法をモンテカルロ法に応用した新手法「自己学習モンテカルロ法」を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機械学習分子動力学法については、粘土鉱物を構成する原子種が多いこともあり、機械学習ポテンシャルの作成が難しかったため、研究開始時に予定していたほどは研究が進んでいない。一方で、実験による観測及び3D-RISM法による研究は順調に進んでおり、主な研究の目的の一つである粘土鉱物海面における水の構造化については理解が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
粘土鉱物界面における水の構造化現象については、実験結果についての3D-RISM法によるシミュレーション結果による解釈を進める。 一方、機械学習分子動力学法については、基礎的な粘土鉱物のシミュレーションに成功しており、その結果を基礎として粘土鉱物-水界面に拡張する。また、機械学習分子動力学法のコード開発も進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が予定より遅れており、国際会議での発表を見送ったため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は翌年度分と合わせて、主に国際会議での発表及び論文投稿料等の成果の発表に用いる予定である。
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Research Products
(2 results)