2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K05209
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
迫田 晃弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 人形峠環境技術センター, 研究副主幹 (50603221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラドン / トロン / 散逸 / 鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラドンは希ガスの天然放射性元素で、鉱物などに含まれるラジウムを起源とする。ラドンはあらゆる場所に存在するため、これまでに健康影響、環境動態、トレーサ利用等の観点から、多様な研究の取り組みがなされてきた。本研究では、環境動態で最初のプロセスであるラドン散逸(鉱物内部から外部へ放出されること)の機構を理解するために、鉱物粒子の性質がラドン(Rn-222)や同位体トロン(Rn-220)の散逸に及ぼす影響を実験や計算に基づいて検討する。つまり、ラドン先行研究の広範なレビュー結果を踏まえて、特にラジウムの存在形態や鉱物の損傷に着目して、様々に処理された鉱物試料のラドン・トロン散逸能を解析する。 今年度はまず、散逸能の測定系の準備、およびラドン・トロン測定器の校正作業を行った。次いで、この系を用いて、使用する鉱物試料の選定作業を行った。準備した試料を原状のままで散逸能を測定したところ、今回確保できた量では定量が難しい試料が多いことがわかった。一部にはトロン散逸に富む試料があり、これらは今後の実験に供することができる。しかし、ラドン散逸に富む適切な鉱物試料は未だ無く、今後も引き続き試料の確保が必要である。また、研究代表者が以前開発したラドン散逸の計算コードについて、本研究目的にも利用できるよう拡張作業に着手して、一定の進展を得た。 今後は、選定した鉱物試料を用いて、様々に処理した後のラドン・トロン散逸能の測定を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉱物試料の準備と選定に時間を要したため、当初計画のうち、処理を施した試料の散逸能測定には着手できなかった。その代わり、計算コードの作成を前倒しで開始して一定の進展を得たため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、様々な処理を施した鉱物試料の散逸能測定の実施、およびラドン・トロン散逸の計算コード作成と計算実施を進める。実験と計算の両結果を踏まえて、鉱物の内部性質に着目したラドン散逸現象の議論を展開する。
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