2020 Fiscal Year Research-status Report
非可食性バイオマスから誘導可能な含芳香族アクリルモノマーの精密重合技術の開発
Project/Area Number |
18K05210
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹中 康将 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40392021)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アクリル樹脂 / バイオベースポリマー / グループトランスファー重合 / 非可食性バイオマス / リグニン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、桂皮酸エステル、カフェ酸エステルなどの非可食性バイオマスから誘導可能なβ位に芳香族置換基を有するα,β-不飽和カルボン酸エステル(含芳香族アクリルモノマー)の高効率、高選択的かつ高立体規則的な重合法を開発し、従来のアクリル樹脂(PMMA)の性能を凌駕する様な非可食性バイオマス由来の新規な高機能・高性能バイオベース含芳香族アクリル樹脂の合成技術を確立する事を目的とした。 (1) クロトン酸エステル、桂皮酸メチルおよびフェルラ酸エステルなどを用いて、収率90%以上かつ立体選択性80%以上で、重量平均分子量100 kg/mol程度の含芳香族アクリル樹脂を与える重合システムの構築を行った。 (2) 得られた含芳香族アクリル樹脂について、主鎖骨格の立体規則性、熱物性、光学特性、機械特性及び、分解性の評価を実施し、主鎖骨格の立体規則性と各種物性との関係性について考察を行った。得られた含芳香族アクリル樹脂の熱プレスフィルムを作成し、偏光顕微鏡観察により温度可変のフィルム観察を行い、結晶性や液晶性について評価を行った。 (3) 機械特性評価として、熱プレスにより作成したフィルムを用いて引っ張り試験を行った。分解性の評価として、パイロライザーを用いて合成した含芳香族アクリル樹脂を熱分解し、GC-MSを用いて分解生成物の化学構造を特定する事で、含芳香族アクリル樹脂のリサイクル性について考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) クロトン酸エステル、桂皮酸メチルおよびフェルラ酸エステルなどを用いて、収率90%以上かつ立体選択性80%以上で、重量平均分子量100 kg/mol程度の含芳香族アクリル樹脂を与える重合条件を見出した。この重合条件を基にして、スケールアップを検討し、実用化を見据えて一度に100 g程度合成する事が可能な重合システムを構築した。 (2) 得られた含芳香族アクリル樹脂について、主鎖骨格の立体規則性、熱物性、光学特性、機械特性及び、分解性の評価を実施し、主鎖骨格の立体規則性と各種物性との関係性について考察した。得られた含芳香族アクリル樹脂の熱プレスフィルムを作成し、偏光顕微鏡観察により温度可変のフィルム観察を行い、結晶性や液晶性について評価を行った。 (3) 機械特性評価として、熱プレスにより作成したフィルムを用いて引っ張り試験を行った。分解性評価として、パイロライザーを用いて合成した含芳香族アクリル樹脂を熱分解し、GC-MSを用いて分解生成物の化学構造を特定する事で、含芳香族アクリル樹脂のリサイクル性について考察した。
|
Strategy for Future Research Activity |
環構造を持つ不飽和カルボン酸エステルやフェルラ酸エステルなどの高効率重合法の確立を行う。これまでに合成してきたポリマーを含めて、ケミカルリサイクル性などについて評価を行って行き、ポリマーのリサイクル手法の確立を行う。
|
Causes of Carryover |
本研究成果を社会へと発信するために令和二年度に参加予定であった国内外の学会がコロナ禍の影響で中止または延期となったため、令和三年度に国内外の学会で成果発表を行う予定にしている。
|
Research Products
(4 results)