2022 Fiscal Year Research-status Report
液晶性を活用した高蛍光性全芳香族ポリイミド高配向膜の創製と偏光蛍光発光機構の解明
Project/Area Number |
18K05213
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石毛 亮平 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20625264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 偏光蛍光発光 / リオトロピック液晶 / 全芳香族ポリイミド / せん断流動配向 / 含フッ素置換基 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに得られた実験結果を踏まえて,量子化学計算に基づく最安定構造の予測を実施した.その結果,ジアミン部に導入されたかさ高いヘキサフルオロイソプロピル(HFA)基の立体障害によって,ビフタルイミド部とジアミン部をつなぐ結合にねじれが生じて二面角が増大することが確認された.また,このねじれの誘起に伴って,電子遷移が振動子強度の小さい電荷移動型から,振動子強度の大きい局所励起型に変化することも判明した.さらに,リオトロピック液晶相を発現する前駆体ポリアミド酸エステル(PAE)に剪断を印加して調製した一軸配向フィルム試料の広角X線回折(WAXD)像の詳細な解析から,かさ高い置換基を除いては同一の主鎖構造を有する他のPAEが明確な二軸性(主鎖まわりの2回対称性)を有する結晶を形成するのに対し,HFAを有する本系では配向軸(主鎖)まわりに4回回転対称性を有する結晶が形成されていることが令和2年度の検討により判明している.この4回回転対称性は,結合のねじれによりPAEの側鎖アルキル基が四方に張り出した結果として生じていると考えられる.このねじれはイミド化時も保持されると考えられ,間接的ながら発光に関与する主鎖形態の証拠が得られた.また当該のPAEの一軸配向試料を基板上で熱処理すると,イミド化時に延伸方向のみならず,幅方向にも収縮応力が作用し,試料が二軸延伸される結果,イミド化に伴って配向度が大きく低下することが判明した.現在,張力が延伸方向にのみ作用するように固定法を工夫し,より高い偏光効率の蛍光が得られる試料の作製を検討・評価中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により当初予定していた学会,国際会議への参加等は引き続き延期したが,実験については概ね計画通りに進行した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた成果をとりまとめ,国際会議ならびに論文誌にて報告する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により当初予定していた学会,国際会議への参加等が中止となり,旅費を使用できなかったため. 22年度の差額は,23年度に対面で実施予定の国内学会(高分子討論会など)への旅費として使用する.
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