2019 Fiscal Year Research-status Report
カチオン重合生長種の反応性制御による新しい異種共重合系の創出と配列制御
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18K05217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 有紘 大阪大学, 理学研究科, 講師 (50621322)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カチオン重合 / 開環重合 / ビニルモノマー / 環状モノマー / 共重合 / 異種共重合 / リビング重合 / 制御重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,カチオン重合生長種の高活性・高選択性に基づいてビニルモノマーと環状モノマーを中心とする新しい異種共重合系を構築すること,およびそれを元に緻密に制御された連鎖構造・特異な機能を有する高分子を創出することを目的とする。本年度は主に次の4つのテーマについて研究を進めた。 (1)オキシランのアルキル置換基が共重合性に及ぼす効果の解明:種々のアルキル置換基をもつ二,三,四置換オキシランを新たに設計し,ビニルエーテルとの異種カチオン共重合を行った。かさ高さのわずかな違いが,交差生長反応の有無・頻度など共重合性に大きく影響することがわかった。 (2)オキシランの新規開環リビング重合系の開発:1,4-ジオキサンなどの環状エーテルを添加物として用いた開始剤系を設計し,シクロヘキセンオキシドなどの制御カチオン重合に有効であることを見出した。 (3)ビニルモノマーと環状アセタールの制御カチオン共重合による種々の配列制御ポリマーや新規分解性ポリマーの合成:環状アセタールの2位に芳香族置換基を導入すると,ビニルモノマーとの共重合性が向上し,ほぼ交互配列のポリマー合成が可能になった。さらに,シリルビニルエーテルと環状アセタールの共重合により,脱シリル化をトリガーとする新しいタイプの分解性ポリマーを設計した。酢酸ビニルとの共重合の検討も始めた。 (4)主鎖組換え反応と解重合反応を組み合わせた新規配列制御法の開発:環状エステルと環状アセタールの共重合において,主鎖中のアセタール交換と環状アセタールの解重合反応に基づく,配列制御ポリマーの新しい合成法を開発した。 ほか,ビニル付加カチオン・配位開環同時共重合によるグラフトポリマーの設計,種々のα-ヒドロキシ酸由来ジオキソラノンのカチオン共重合,シリル含有環状モノマーの設計と重合,キラル側鎖ビニルエーテルの立体特異性カチオン重合などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」の4つのテーマのうち,とくに(2)や(4)において非常に意義深い結果が多数得られたことから,計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に,ビニル付加・開環同時カチオン共重合を中心とする異種共重合系の構築を目的に,共重合に有用な環状モノマーの設計,リビング異種共重合に向けた開始剤系の設計,さらに多様な異種共重合系の開発などを行う。オキシランのアルキル置換基が及ぼす効果の解明については,さらに多様なオキシランを設計し,その共重合性を調べる。オキシランのリビング重合系の開発については,添加物かつモノマーとして働くような化合物を用い,リビング共重合への展開や分解性ポリマーの制御合成などを検討する。環状アセタールの系では,より多様な環員数・置換基のモノマーを設計し,交差生長の頻度などに与える効果を調べる。さらに,新しいタイプの環状モノマーの設計や非カチオン重合性モノマーを用いた共重合なども検討する。
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Causes of Carryover |
適切に使用したが残額が生じた。次年度に,引き続き有効に試薬等の購入費に充てる。
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Research Products
(21 results)