2020 Fiscal Year Annual Research Report
Surface fluctuation before dewetting of thin films studied by X-ray photon correlation spectroscopy
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18K05226
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
星野 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (20569173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | X線光子相関分光法 / 熱硬化性樹脂 / エポキシ樹脂 / 動的不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに取り組んだ揺らぎの大きな系での解析手法を応用し、熱硬化性樹脂の硬化過程での不均一な揺らぎに注目した解析を実施した。熱硬化性樹脂では、硬化温度条件が、得られる硬化物の耐熱性に大きく影響していると考えられるが、その機構は不明であった。動的な不均一性に着目した解析を行うことで、硬化メカニズムの解明に取り組んだ。 試料としては、触媒系エポキシ樹脂を用い、主剤と硬化剤(触媒)を混合させた状態で、熱浴に投入し、その後、約2時間に渡り、ダイナミクスが変化する様子を調べた。なお、試料中には直径約100nmのシリカ粒子が希薄に分散されており、そこから得られる散乱強度の揺らぎを解析することで硬化状態について議論した。測定は、100℃、および150℃の2つの温度条件で実施した。 熱硬化性樹脂の硬化過程のダイナミクスの研究では、低温硬化過程(100℃)と高温硬化過程(150℃)では、硬化過程でのダイナミクスに大きな差が観測された。特に、低温硬化過程では、大部分ではtwo-time correlation functionにおいて滑らかなダイナミクスの時間変化が観測されていたのに対し、高温硬化過程では間歇的なダイナミクスが長時間に渡り観測された。得られる硬化物については高温硬化の方が耐熱性が低い(ガラス転移温度が低い)ことが知られており、パルスNMRや赤外分光法などの他の手法と合わせて解析することで、低温過程ではゆっくりとした反応により高密度な架橋構造が形成されているのに対し、高温過程では様々な反応が初期に同時に起きることで低密度な架橋構造が形成され、ダイナミクスでは不均一性どして観測されていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)