2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 健 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50626223)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 液晶 / ブルー相 / 高分子膜 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
液晶は動的特性と秩序性をあわせもち、分子の形状や相互作用能によって様々な秩序構造を形成するが、本研究では、キラル液晶のなかでも特に強いらせん誘起力によって、棒状分子が二方向にらせんを形成した構造であるブルー相を発現した液晶を固定化することにより、ブルー相構造を有する高分子材料を開発することを目的としている。相互作用部位・分子認識部位を持つ重合性超分子液晶にブルー相を形成させ、構造を固定化した後に 非重合成分を除去することにより、多孔質高分子膜材料を作製する。得られた高分子膜の、強いねじれをもって集合した水素結合性官能基で構成されるらせんチャネルに由来するキラル分子認識能および分離能を評価する。またキラルフィルムをテンプレートとして機能性材料を開発する。例えば、発光材料と複合化し、新たな刺激応答性キラル発光材料を開発する。 プロジェクト2年目である2019年度は、重合性液晶によるキュービックブルー相構造を有する高分子膜の開発研究について、論文化の作業とそのためのさらなる構造評価を進めた。また1年目に開発したアモルファスブルー相を発現する重合性超分子ネマチック液晶について、キラル剤の組み合わせ、重合部位について検討を進めた。さらにカルボン酸と超分子液晶を形成する相互作用部位として、ピリジン部位やイミダゾリウム部位を有する分子を用いた検証を進めた。また、得られた高分子を膜材料とする手法について、薄膜化の条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子構造の検討を進めることにより、新たな重合性超分子ネマチック液晶の開発に成功し、高分子膜化にも成功している。論文化作業などで一部、予定よりも遅れているものがあるが、全体としては、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ブルー相構造を有する高分子膜作製の論文化を進める。得られたブルー相について構造解析と機能評価を進める。また重合後の高分子膜から低分子成分を溶出させて多孔質フィルムを作製すると同時に、その膜について構造や機能の解析をすすめる。さらに重合性超分子液晶によるブルー相発現に関し、アモルファスブルー相に加えてキュービックブルー相の発現を目指した研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しなどで、共同研究のための出張を見送ったため。また3月以降、新型コロナ感染対策などで状況が変化し、当初の想定よりも物品購入量が減少したため。
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