2018 Fiscal Year Research-status Report
高強度高弾性率、高耐熱性、高熱伝導性剛直高分子ナノファイバーの高性能材料への応用
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18K05237
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 哲也 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90284083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 高耐熱性 / 高熱伝導性 / 結晶化 / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
希薄溶液からの結晶化を利用して、剛直高分子Poly(p-phenylenebenzobisoxazole) (PBO)のナノファイバーを作製し、形成機構の解明と高性能材料への応用を検討した。剛直高分子PBOは、究極的に優れた性能(高強度、高弾性率、高耐熱性、高熱伝導性、化学安定性、電気絶縁性等)が期待されている。しかしながら分子鎖の剛直性ゆえに融解せず、強酸にしか溶解しないため、PBOナノファイバーの作製は困難であった。そこで希薄溶液からの結晶化を利用してPBOナノファイバーを作製する全く新しい方法を確立し、PBOナノファイバーの構造の特徴と形成機構を明らかにした。得られたPBOナノファイバーを用いて高分子との複合体を作製し、その構造制御と物性評価を行った。検討内容は以下のとおりである。 ①PBOナノファイバーの結晶性、微結晶配向、微細構造と形成機構の解明:作製条件(PBO分子量、急冷温度、PBO濃度、溶媒種類等)の異なるナノファイバーの構造をX線回折、透過型電子顕微鏡観察等により検討した。結晶化初期の構造を検討した。 ②PBOナノファイバーシートの高熱伝導性、熱伝導異方性および複合体への応用:PBOナノファイバーで積層シートを作製し、PBOナノファイバーの配向と熱物性を検討した。 ③PBOナノファイバー/高分子複合体の構造と力学特性、熱伝導性の解明:PBOナノファイバーと高分子の複合体を作製し、構造(NF配向をX線回折で測定)、力学特性、熱伝導性、高熱伝導性フィラー間に充填される高分子成分の熱伝導性向上について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希薄溶液からの結晶化を利用してPBO NFを作製する全く新しい方法を確立し、PBO NFの構造の特徴と形成機構を明らかにした。得られたPBO NFを用いて高分子との複合体を作製し、その構造制御と物性評価を行った。以上のように当初予定どおりの検討を実施し、おおむね順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに得られた知見をもとに、高性能のPBO NFに作製と複合体への応用およびPBO NFを用いた積層シートや多孔体についても予定どおり検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成30年度の検討で、当初予定していた溶融混練機を用いた検討より有効的な検討方法が見出された。そのため溶融混練機の購入を次年度以降に先送りし、まずは溶融混練機なしで検討できることを検討した。そのため次年度使用額が生じた。研究全体の進展としては支障はなく、得られる結果も当初の予定とおおむね同じか、それ以上のものが得られると考えている。
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