2018 Fiscal Year Research-status Report
Preparation of Novel Materials from Chitin using Ionic Liquid
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18K05239
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| Research Institution | Kagoshima University |
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Principal Investigator |
山元 和哉 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40347084)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30241722)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | キチン / イオン液体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、N-アセチル-D-グルコサミンがβ(1→4)-グリコシド結合で直鎖状に繋がった高結晶性の天然多糖であり、自然界に豊富に存在する有機資源であるキチンの材料化を目的としている。これまでに、キチンを良好に溶解する臭化1-アリル-3-メチルイミダゾリウム（AMIMBr）を見出しており、さらにキチン/AMIMBrゲルをメタノールに浸漬させることでキチンが自己組織化的にナノファイバーとして再生し、ろ過によりナノファイバーが集積したフィルムが得られることも報告している。本年度は、自己組織化キチンナノファイバーを主鎖成分として、還元アミノ化を利用してキチン鎖にキチンオリゴマーを分岐させた分岐状キチンの創製を検討した。
まず、既報に従い、自己組織化キチンナノファイバーを調製し、還元アミノ化を行うために、アルカリ処理により部分脱アセチル化（PDA）キチンナノファイバーフィルムを得た。また、分岐鎖成分としては重合度が1から6のキチンオリゴマー混合物（市販品）を用いた。PDAキチンのアミノ基に対して所定量のキチンオリゴマーを酢酸水溶液に溶解させ、PDAキチンナノファイバーフィルムを超音波処理によりこの溶液に分散させ、所定条件で撹拌した。その後、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウムをPDAキチンのアミノ基に対し大過剰加え、所定条件で撹拌して還元アミノ化を行ったところ、反応時間が経過するにつれて反応溶液中にゲル状の凝集物が形成されることが確認された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キチンのような高結晶性高分子は、加工性や溶解性に乏しく材料としての利用は容易ではない。一方、分岐状多糖は自然界に数多く存在しており、そのような複雑な構造により増粘剤など多岐にわたって応用されている。したがって、非天然型の分岐多糖の合成は、新規のバイオベース機能性高分子材料開発につながると考えられる。
これまでに、還元アミノ化後の凝集物を遠心分離したところ、ヒドロゲルが得られ、さらに凍結乾燥することでクリオゲルが得られることを見出している。プロトンNMR測定結果から算出した主鎖キチンに対するキチンオリゴマーのグラフト化率は約20％であった。また、反応分散液を超音波処理後、スピンコートを行い測定したSEM観察結果から、もとのキチンナノファイバーよりも比較的短いナノファイバーが観察された。またTEM観察結果から、バンドルを形成したキチン集合体がほぐされたことも確認された。一方、XRD測定の結果からPDAキチンと比較して、キチン由来の結晶構造に由来する2θ=19°のピーク面積が減少していることも観測された。このことから、キチン同一シート内で隣り合う分子鎖間の水素結合が弱まって水を取り込みやすくなり、ゲル化したのではないかと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
キチンを基盤とする材料化として、還元アミノ化を利用してキチン鎖にN-アセチル-D-グルコサミン（単糖）や、そのほかの単糖および二糖程度の糖を修飾させた分岐状キチンの創製を検討する。適度にキチン分子鎖を制御することで、再生キチンの構造化のドライビングフォースとして考えられる水素結合形成を促進もしくは抑制することで結晶化を制御し、多様なキチンナノ素材の創製が期待できる。キチンナノファイバーのアスペクト比の向上や、水素結合性の官能基を有する高分子との複合化を目的に、分散媒・溶媒への分散性・溶解性や添加剤が再生キチンの構造化に与える効果を検討する。また、イオン液体で可溶化させたキチンに対して適切な酸や過酸化物等の存在下でグリコシド結合の分解による低分子量化も検討する。低分子量化したキチンからの再生によっても新奇な構造化が期待され、結晶化の制御に寄与すると考えられる温度や濃度だけでなく、圧力の効果も検討する。さらに、適度に低分子量化することで、キチン糖鎖の還元末端を活用した修飾剤としての材料創製や、構造制御されたキチンナノ素材を支持体もしくは強化剤として活用した天然多糖や合成高分子との簡便な複合化を検討する。
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