2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05240
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
近藤 瑞穂 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (70447564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磨砕応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は吸収系のメカノクロミック材料高分子の使用を検討するため,側鎖にスピロピランを含有するポリメタクリレートを合成し,磨砕応答性および光学特性について評価した。高分子骨格とはサリチルアルデヒド由来のベンゼン環もしくはスピロピランの窒素原子部位に結合したポリマーを合成し,前者より作製したポリマーでは,成膜直後は無色透明であったが,磨砕によって紫色に変色することがわかった。これまでに架橋体,もしくは主鎖型のスピロピラン高分子では磨砕応答が確認されていたが,側鎖型では磨砕応答は確認されておらず,高分子主鎖の動きと大きくデカップルした状態でも磨砕応答性が誘起できることが明らかとなった。また,この時の負荷を,摩擦感測定装置を用いて発色変化の荷重依存性を評価したところ,150~200gの負荷で大きな発色変化が観察できることを確認した。一方,窒素原子部位でメタクリル骨格と結合させた高分子ではフィルムが損傷する程度の負荷では発色変化が誘起されなかった。これは高分子骨格のコンフォメーション変化に加えて,高分子骨格との結合位置が磨砕応答性に大きく影響していることが示唆される。また,架橋部位にスピロピランが存在しない架橋高分子を作製し磨砕応答性および光応答性を評価したところ,紫外光照射による発色変化は確認できる一方,フィルムが損傷する程度の負荷では発色変化が観察されなかった。これらの結果から,効率的な磨砕応答を誘起するには高分子骨格と強く相関した構造が必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の報告とは別に発光系の磨砕応答性色素の合成も検討したが,いずれも発色変化の幅が小さいことに加えて応力応答性の向上がみられなかったため,電気化学応答性を示す色素の設計に転用できなかった
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Strategy for Future Research Activity |
発色変化の大きな材料を検討するため,二段階のZincke反応を用いたシアノスチロバゾール誘導体色素の設計を検討する。 また,本年度から使用できるようになった摩擦感測定装置を用いて応力変化の荷重依存性についても評価する
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Research Products
(30 results)