2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Reactive Ladder Polymers from Inositol Originated from Rice Bran
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18K05246
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
須藤 篤 近畿大学, 理工学部, 教授 (20293053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然化合物 / myo-イノシトール / 重縮合 / テトラシリルエーテル / ラダー高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
米糠成分「myo-イノシトール」を原料として用い、本研究が目指す新規反応性ラダー高分子の合成にむけた検討を行った。今年度は、側鎖にヒドロキシ基をもつ反応性ラダー高分子の合成と、ラダー高分子の耐熱性評価を目標とした。 昨年度の研究において、myo-イノシトールがもつ6つのヒドロキシ基のうち、2つをアルキル化(メチル化、ブチル化、ベンジル化)し、残りの4つのヒドロキシ基をシリル化することで、ラダー高分子を合成するためのモノマーが得られることを明らかにした。得られたテトラシリルエーテルと2,3-ブタンジオンの重縮合反応によって、対応するラダー高分子が効率よく得られた。 そこで、得られたラダー高分子のうち、側鎖にベンジルエーテルをもつものに着目し、水素添加によるベンジル基の除去を試みた。しかしながら、効率よく脱保護できる条件を見出すことができなかった。そこで、上述のアルキル化をエステル化に替え、2つのヒドロキシ基がアセチル化されたテトラシリルエーテルを合成した。他のテトラシリルエーテルと同様、このテトラシリルエーテルも2,3-ブタンジオンと効率よく反応し、側鎖にアセトキシ基をもつラダー高分子を与えた。 最後に、ラダー高分子に対して1級アミンを作用させたところ、アミンが側鎖のアセトキシ基を攻撃することで脱アセチル化が進行し、側鎖にヒドロキシ基をもつラダー高分子が得られた。ヒドロキシ基はさまざまな反応に利用可能であることから、本研究が目指す「反応性ラダー高分子」の開発に成功したといえる。加えて、これまで合成したラダー高分子の耐熱性を調査したところ、300度程度までは熱分解しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ①「ラダー高分子の合成法の確立(平成30年度~令和元年度前半)」を、予定通り今年度内に達成した。また、得られたラダー高分子の熱分解性を調査することで、サブテーマ②「ラダー高分子の耐熱性評価・配向集積状態の解析」(令和元年度~令和2年度)の一部を達成した。さらに、側鎖にヒドロキシ基をもつラダー高分子の合成に成功したことから、サブテーマ③「反応性ラダー高分子の合成と架橋反応」(令和元年度後半~令和2年度前半)の一部を達成した。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ③「反応性ラダー高分子の合成と架橋反応」を継続し、側鎖のヒドロキシ基とイソシアナートの反応によるウレタン基の導入や、桂皮酸との反応による光架橋性部位の導入などを検討する。さらに、得られたラダー高分子の架橋反応を行う。また、サブテーマ②「ラダー高分子の耐熱性評価・配向集積状態の解析」をサブテーマ③と並行して進め、サブテーマ③の遂行によって得られた種々のラダー高分子の耐熱性や配向集積状態をサブテーマ②において検討する。特に、架橋に伴う耐熱性の変化や配向集積状態の変化を検討する。
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