2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular dynamics simulations to elucidate the mechanism of the universal behavior of molecular assemblies observed in the processes of organic semiconductor thin film growth
Project/Area Number |
18K05253
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 進 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (20401234)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 分子動力学シミュレーション / 薄膜 / 核生成 / 臨界核 / 結晶成長 / ペンタセン |
Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体薄膜成長過程の分子集団挙動には、例えば棒状の分子が基板上で立って配列する傾向にあるなど普遍的現象が多く、その基本原理を見抜くことができれば、高品質な有機半導体薄膜を作製するための指針を得ることが可能となる。本研究では、分子動力学(MD)シミュレーションによって有機半導体薄膜成長のメカニズムを分子レベルで解明することを目的とし、初年度(2018年度)はMDシミュレーションの計算環境を整備して、有機半導体のシミュレーションを進める上での問題点を洗い出し、2年目(2019年度)は、基板表面上で立った状態にあるペンタセン分子からなるクラスターの安定性を調べるMDシミュレーションを行い、10分子を超えると安定して存在でき、更なる成長も可能であることを示した(Appl. Phys. Express 13, 015508, 2020)。最終年度である3年目(2020年度)は、臨界核と考えらえる10分子クラスターの詳細なMDシミュレーションを行い、(1) クラスターのまま倒れる、(2) クラスターが分裂後に倒れる、(3) クラスターが立った状態を維持し分子を取り込んで成長して更に安定化する、の3つの挙動を示すことがわかった。熱力学に基づく古典的核生成理論を用いて立った分子からなる核生成の自由エネルギー変化、寝た分子からなる核生成自由エネルギー変化を求め、上記MDシミュレーション結果と比較したところ、シミュレーションで見られた(1)~(3)の挙動は、立った分子からなる核生成自由エネルギー曲線の頂点(臨界核の大きさに対応し自由エネルギー最大の状態)にたまたま置かれたクラスターが、エネルギー的に安定化するために進みうる3つの経路に対応することがわかり、理論とも調和した総合的理解を得ることができた(Jpn. J. Appl. Phys. 59, 115506, 2020)。
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Research Products
(2 results)