2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K05263
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
磯田 恭佑 香川大学, 創造工学部, 准教授 (20568620)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電子ーイオン混合伝導体 / 超分子化学 / 有機ラジカルアニオン / 電子アクセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子およびイオン輸送部位を有する電子ーイオン混合伝導体の開発を目的としている。本年度は、合成した化合物を電解合成し、単結晶の合成を行なった。化合物および電解質を含む溶液を電解合成を行なったところ、緑色の単結晶が得られた。単結晶X線構造解析を行なったところ、クラウンエーテル部位にNaイオンが配位、さらにpi-共役部位にある窒素原子にもNaイオンが配位した構造からなることが分かった。つまり、この配位子は架橋型配位子として機能し、一次元配位高分子を形成していることが分かった。さらに、この配位高分子は螺旋構造を形成、高分子間ではpi-共役部位ではpi-pi相互作用を形成して、安定な構造を形成していることが分かった(Dalton Trans. 2019, Inside Back Cover)。 その他に、異なるpi-共役部位からなる分子を設計・合成を行なった。これらの分子は、ディスク状のpi-共役分子からなり、骨格内には窒素原子を導入している。また、分子にはクラウンエーテルとアルキル部位を導入している。本分子は、室温を含む広い温度範囲で自己組織的に液晶構造を形成していることが分かった。さらに、イオンを導入することでその発光色が変化したり、酸を添加することで、発光色や液晶構造を変化させることができることが確認された。現在、本研究に関しては論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、論文掲載およびさらなる化合物の合成および評価を目標としてきた。2019年度は一本の学術論文掲載、また現在一本の学術論文投稿中であるため、概ね順調であると考えている。また、現在1つの新たな分子を合成し、1つの分子を合成開始しており、今後も進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
使用するpi-共役部位への化学修飾や分子骨格を変更することで、電子アクセプターまたは電子輸送性材料としての特性の向上させる。また、アルキル部位を導入することで、自己組織化特性を調整するとともに、室温を含む広い温度範囲で液晶構造の形成を目指す。さらに、クラウンエーテル部位のサイズ変更やイオン認識部位の構造を変えることで、より優れた特性を有する分子の探求を行っていく。
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Causes of Carryover |
有機合成が予想以上の収率で得られたことで、購入予定だった有機合成試薬を購入しなかったため。
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