2018 Fiscal Year Research-status Report
ゼオライト骨格中Al原子の元素選択的原子分解能イメージング
Project/Area Number |
18K05268
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
阪本 康弘 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (10548580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 俊之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00401125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゼオライト / ミクロ多孔質材料 / 電子顕微鏡 / 活性サイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ゼオライト骨格中に極微量含まれる活性サイトの同定を超高空間分解能をもつ球面収差補正走査透過電子顕微鏡(AC-STEM)法を用い行う。また、得られた知見をもとにそれら活性サイトが作る特異ナノ空間場での触媒反応機構を解明することを目指す。今年度は、以下に述べるようにBEA型およびMFI型ゼオライト骨格中に分布したSn原子のAC-STEM観察を行い、そのヘテロ原子の直接観察および得られた電子顕微鏡像の解析を進めた。(1)BEA型ゼオライトのAC-STEM像から、BEA型ゼオライトがもつ12員環メインチャネルを明瞭に観察することができた。このことから、ゼオライト骨格を壊さずにその骨格中にあるT原子(Si原子等)をイメージングするため必要十分な高空間分解能と低電子線照射量を同時に満たす観察条件を明らかにした。また、そのAC-STEM像にはゼオライト骨格の一部のT原子サイトが他のサイトよりも明るい輝点として観察され、その原子カラムにSn原子が存在していると考えた。(2)MFI型ゼオライト骨格中Sn原子の直接観察するため、観察の薄片化が容易な数十μmサイズの試料を合成しそのAC-STEM観察を行った。その結果、MFI型ゼオライトがその骨格構造にもつジグザグチャネルに面したサイトにSn原子による明るいコントラストが観察された。また、この結果から[100]入射方向のAC-STEM像を同様に評価することにより、観察方向に重なった複数Tサイトを考慮したヘテロ原子サイトの同定が可能となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度(2018年度)始めに所属先が変わったことに伴い、研究環境の再立ち上げが必要であったこと、さらにそのために想像以上の時間がかかってしまったことが第一の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前年度までに得られた実験結果の解析、および、ゼオライト類縁化合物であるチタノシリケートETS-10骨格中に規則配列したヘテロ原子Tiの原子分解能イメージングを行う。ETS-10は,T原子(SiとTi原子)の17%がTi原子であるうえ,Ti原子がその骨格中で規則配列し一次元鎖を形成している。そのため、Ti原子はこれまで観察に成功したSn原子と比べて軽元素であるが、直接観察できる可能性十分あると考える。
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Causes of Carryover |
今年度(2018年度)始めに所属が変更したことにより、本研究課題申請時に予定していた設備備品「冷却水送水装置・室内型空冷一体型(設置機関:東北大学)」の購入ができなかったため、相当分の経費の使用が次年度へ繰り越された。翌年度分の経費では、当初予定していた消耗品の購入と国内の学会・研究打ち合わせのための旅費に加えて、申請時に予定していなかった海外で開催される関連国際学会への参加、および、解析ソフトの購入を予定している。
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