2019 Fiscal Year Research-status Report
層状構造セラミックスによる高速・高容量二酸化炭素吸着材料の開発
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18K05269
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
柳瀬 郁夫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10334153)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 炭素材料 / 水蒸気 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究では昨年度までに、常温におけるナトリウムフェライトの二酸化炭素吸収特性が二酸化炭素に含まれる水蒸気(湿度)の影響を強く受けることを見出した。これは、水蒸気がナトリウムフェライト上に吸着してから二酸化炭素吸収が生じるという化学的現象に起因するためであることを見出した。そこで本年度では、二酸化炭素吸収材料が水蒸気を効率よく吸着するための添加材料の検討を行った。 添加材料としては、吸湿性をもつことで知られる炭素材料に着目した。炭素材料としては、まず、近年注目が集まっているグラフェンを用い、二酸化炭素吸収材料と複合化して、水蒸気存在下において常温における二酸化炭素吸収実験を行った。その結果、炭素材料の添加量には最適値があることを見出した。すなわち、添加量が増加するにつれて、水蒸気吸着量が増したため、二酸化炭素吸収特性は向上したが、過剰に添加した場合、二酸化炭素吸収材料の二酸化炭素吸着に有効な表面積の低下が生じるため、炭素材料を添加しても、二酸化炭素吸収特性が向上せず、逆に低下することがわかった。また、炭素材料を複合化しても、二酸化炭素吸収特性が繰り返し得られることを確認した。 次に、炭素材料として、市販グラフェンの添加以外に、有機原料をもとにしたカーボン被覆法を選択した。カーボン被覆法では、二酸化炭素材料の粒子上への添加が、グラフェンの添加と比べて均質に行うことができるため、優れた二酸化炭素吸収特性が得られることがわかった。 以上のように、二酸化炭素吸収材料の特性を高めるための「複合材料」に関する研究を当初の予定通りに行った結果、水蒸気吸着特性を有する炭素材料との複合化によって、二酸化炭素吸収特性が向上することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに、「複合材料」の研究を実施することができた。さらに、得られた成果は、二酸化炭素吸収材料の特性向上のための重要な指針の一つになることを見出せたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに、これまでに見出した材料の二酸化炭素吸収特性をさらに高めるべく、研究を進め、材料の設計指針を構築する。
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Causes of Carryover |
研究内容が予定よりも少額で済んだこと及び初年度の繰り越し金があったことによる。
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