2019 Fiscal Year Research-status Report
有機金属錯体を中空粒子に内包した新奇なカプセル型構造体の合成とその機能開拓
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18K05273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 隆史 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 技術専門職員 (00379314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中空粒子 / 有機金属錯体 / 内包粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有機金属錯体を中空粒子に内包させた構造体の合成を目指している。このような構造体とすることで、有機金属錯体のもつ構造の柔軟性と、それにより得られる高収率・高選択性を維持したまま、回収・再利用の課題を解決できると考えている。本研究が達成できれば、従来の有機金属錯体の再利用性の向上やプロセスの簡略化の観点だけではなく、現在は不均一系触媒が用いられている反応系に活性や選択性の高い有機金属錯体を利用することも期待できる。また、中空粒子の細孔や表面物性を積極的に利用することで、従来の有機金属錯体だけでは得られない新たな機能の発現も期待できる。 本年度は、前年度に引き続いて有機金属錯体を中空内部への内包する方法の確立を目指した。手法としては①あらかじめ合成した中空カプセル内部への有機金属錯体のシップ・イン・ボトル合成、②微小空間で合成した有機金属錯体からのカプセル型構造体合成、という全く視点の異なる2通りの手法を用いて行い、サイズの大きな様々な有機金属錯体を用いて中空内部への取り込みを試みた。中空粒子としては、①の手法ではシリカやチタニア、カーボンナイトライドで構成される中空粒子の合成に、②の方法ではシリカで構成される中空粒子の合成に成功した。また、熱処理やポスト処理によって細孔の制御にも成功している。しかしながら、これら中空粒子を用いて様々な有機金属錯体の内包を行い、分光学的な検出を試みたが、中空内部への取り込みの確認には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の一番の課題である有機金属錯体を中空粒子に内包させたカプセル型構造体の合成法の確立を目指して、2通りの手法を並行して研究を進めてきた。どちらの手法においても中空粒子は合成でき、様々な材料で粒子径や細孔を変えた中空粒子を合成することはできた。しかしながら、内包させる有機金属錯体の種類を変えて、内部への有機金属錯体の取り込みを試みたが、実現には至っていない。この要因として溶液中での合成であるため、細孔の制御が不十分で有機金属錯体の中空外部への溶出が問題となっていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
様々なサイズや細孔の大きさを変えた中空粒子の合成は確立できている。しかしながら、有機金属錯体を中空粒子に内包させたカプセル型構造体の合成法の確立に手間取っている状況である。その要因の一つとして、内包された有機金属錯体の中空粒子外部への拡散が考えられる。そこで、中空粒子にリンカーとなりうる部位や元素を導入し内部で安定化させる、または、細孔を埋める処理を検討することで拡散が問題かを明らかにし、早期の合成法の確立を目指し、触媒活性の評価へとつなげて行く。
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Research Products
(1 results)