2019 Fiscal Year Research-status Report
格子間酸素移動型イオニクスデバイスにおける固/固界面イオン移動
Project/Area Number |
18K05278
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
嶺重 温 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00285339)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 燃料電池 / 界面インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、固体酸化物燃料電池(SOFC)などのイオニクスデバイスにおける電極/電解質界面(固/固界面)の酸化物イオンの移動に焦点を当て、種々の材料を組み合わせて構築した界面を系統的に評価し、その抵抗の支配因子解明と、それをもとにした最適な界面設計を目指している。本年度は、電極/電解質界面を含む対称セル、ならびにこれに参照極を加えた3電極セルを作製して交流インピーダンス計測を行い、得られるデータを基に伝送線モデルを用いた解析により、界面ならびに電極抵抗を評価する手法を確立した。 具体的には電解質として酸素空孔拡散型電解質CeO2 系材料を用い、電極材料としてRuddlesden-Popper型La2-xSrxNiO4の酸素極材料を用いて緻密電極/電解質界面を有するセルの構築とインピーダンス測定並びに解析を実施した。界面構築はパルスレーザー蒸着(PLD)法で行い、蒸着時間により膜厚を制御した。電極厚さの異なるセルについて温度を変えながらインピーダンス測定と解析を実施した。検討の結果、電解質の粒内、粒界抵抗、界面抵抗、酸素極のイオン移動抵抗ならびに電荷移動抵抗の評価と活性化エネルギーの見積もりが可能となった。さらに、3電極セルにおいてカソード分極下でインピーダンス測定を行うことで、界面抵抗の電位依存性に関する知見を得た。次年度は、本年度に確立した手法を酸素空孔拡散型、格子間酸素拡散型材料で構築される種々界面に適用し、固/固界面における酸化物イオン移動挙動の詳細を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固/固界面における酸化物イオンの移動に着目し、伝送線モデルを適用したインピーダンス解析によって各抵抗の分離が可能となり、界面抵抗ならびに活性化エネルギーの評価手法が確立されたことから当初の計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、この手法を用いて酸素空孔拡散型、格子間酸素拡散型材料を用いて構築された種々の界面の抵抗を評価することで固/固界面における酸化物イオン移動の詳細を明らかにする予定である。一方、得られた抵抗値や活性化エネルギーの妥当性の検証も必要である。文献における、種々測定手法から得られた当該材料の物性値を参考に、本研究で得られた結果の妥当性の検証についてあわせて行っていく予定である。なお本研究の伝送線モデルを用いた解析については産業技術総合研究所主任研究員、城間博士の協力を得ながら実施している。次年度も引き続き城間博士の協力を得ながら、種々の界面に適した解析モデルを迅速に適用し、研究を進める予定である。
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