2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of a new high-capacity mechanism of layered oxides using deficiency in metal site
Project/Area Number |
18K05302
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石田 直哉 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 准教授 (60712239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池正極材料 / 結晶構造解析 / 局所構造解析 / 層状岩塩型構造 / 放射光X線回折 / 中性子回折 / XAFS / 全散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池正極材料Li(Mn,Ni,Ti)1-dO2において、昨年度までに遷移金属欠損量dを制御する試みを実施した。当年度はdと構造との関係を調査した。特に、SPring-8のX線全散乱実験から導出された還元二体分布関数G(r)に対して、単位格子を拡張したセルを用いた局所構造解析を実施した。比較した試料はxLi2/3MnO7/3-(1-x)Na2/3Mn1/2Ni1/4Ti1/4O2で表される固溶体において、x = 0.6, 0.7, 0.8の組成を持った三試料とした。これらの試料は遷移金属欠損がない場合と比べると、x = 0.6はあまり特性に影響がなく、x = 0.7, 0.8とxの値が大きくなるにつれて、エネルギー密度が高まる傾向があった。まず、放射光X線と中性子の回折実験について、同時リートベルト解析を行うといずれの組成も層状岩塩型構造として妥当に解析され、遷移金属欠陥の存在も確かめられた。得られた単位格子をa,b軸を3倍にした拡張セルを用いて、X線によるG(r)を満たすよう全原子の座標と熱振動を精密化した。解析によって得られた局所構造は、すべての金属元素が八面体を形成していることから八面体の歪みによって構造安定性を評価した。x = 0.6では遷移金属欠損導入によってわずかに歪が小さくなったが、特性の変化が小さいことから推察されるように、無視できる範囲であることが確かめられた。同様にほかの組成を分析すると、x = 0.7はNiの歪が大きくなっており、Niはヤーンテラー効果を持つ三価が導入された可能性を示唆し、導電性の向上が特性を高めた可能性がある。x = 0.8は、顕著に歪が低減しており、特性が向上した原因はMn-rich組成におけるヤーンテラー効果を欠損によって緩和するためと結論付けられる。以上の成果はPACIFICHEM 2021で口頭発表した。
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Research Products
(1 results)