2020 Fiscal Year Research-status Report
二次電池正極反応分布の充放電環境依存性と不均一反応の起源の解明
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18K05305
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
片山 真祥 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (90469198)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応分布 / 温度依存性 / レート依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池正極の反応分布が充放電環境にどのように依存するのか、イメージングXAFS法を用いた解析を行った。イメージングXAFS法は正極の充放電状態を電池を解体することなく解析することが可能な分析手法である。実験は立命館大学SRセンターBL-4で実施した。正極活物質にリン酸鉄リチウムを用い、電極面内に電子伝導の不均一性に起因する反応分布が発生する正極シートを対象とした。放電時の温度、放電レート、電池に用いた電解液の濃度をパラメータとし、放電過程の化学状態をFe K吸収端XANESスペクトルを解析した。反応分布の不均一性を評価するために、電極全面についてK吸収端エネルギーを求め、そのヒストグラムおよび分散を評価した。その結果、放電時の温度が高く、放電レートが大きいほど、分布の不均一性が増大することが明らかになった。また、電解液の濃度が高いと、不均一反応が強調される傾向が認められた。放電反応が進行する際、反応が先行する領域ではリチウムイオン濃度が低下し、電解液中に濃度勾配が発生する。この濃度勾配の程度および解消が電解液濃度・温度のパラメータにより異なることが反応分布を変化させる原因と考えられる。すなわち、電解液中のイオン拡散現象が正極中の電子伝導性に加えて、正極反応の反応分布に影響していることを示している。特に温度および充放電レートは二次電池の使用条件により様々であるため、電池内部の反応分布がこれら外的要因により変化するという事実は電池性能の向上、安全性確保に重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入校制限等により実験、解析が計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに実施した温度・レート・濃度をパラメータとした反応分布測定データの定量的な解析を進める。特に、異なるセルでの不均一反応を評価するための手法を確立し、解析プログラムに実装する。これらの成果を学術論文として発表し、広く社会へ還元することに努める。
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Causes of Carryover |
実験および成果発表が計画よりもやや遅れたため、事業の1年延長を申請した。次年度に実施する実験および成果発表に使用する。
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