2019 Fiscal Year Research-status Report
非水系溶媒中および電極表面での多価イオンの動的挙動の実測と理論的理解
Project/Area Number |
18K05309
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清林 哲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究主幹 (80356906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20613251)
尾崎 弘幸 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70415652)
内田 悟史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (40725420)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 伝導度 / 粘度 / マグネシウム系電解液 / モンテカルロシミュレーション / スケール則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マグネシウム系非水電解液の伝導度・粘度の実測と、モンテカルロ法に基づいたそれらの理論的シミュレーションの二本を柱として、未解明問題の多いこれらの物理量の決定要因を探ることを目指している。 実測の方は、データが徐々に出そろいつつあり、以下のようなことが判ってきた。すなわち、マグネシウム塩の比伝導度は、マグネシウムの価数が2であるにも関わらず、同じ溶媒では価数が1のリチウム塩やナトリウム塩より小さく、またその最大値が観察される濃度も、イオンの粒子数に基づいた濃度(「数密度」と言う)で見たときに、1価の塩と比べて低濃度に現れることがわかった。粘度に関しては、同じく数密度で見た場合に、1価の塩より2価であるマグネシウム塩の方が急激に増大することが示された。 シミュレーションの方では、今年度はイオンの価数や溶媒の誘電率によって伝導度や粘度がどのように変化する(どのような「スケール則」に乗る)のかを理論的に解明した。その結果、他の条件が同一であるならば、比伝導度は、塩を構成する正負両イオンの価数の逆数の平均の逆数(「調和平均価数」と呼ぶ)、ならびに正負イオンの価数の積の絶対値を冪として持つ指数減衰関数の両方に比例することが示された。 以上の結果から、マグネシウム系の伝導度が同じ溶媒でのリチウム塩やナトリウム塩のそれより小さくなる理由が次のように説明できる。すなわち、調和平均価数がマグネシウム塩で多いことによる影響よりも、両イオンの価数の積が大きいことによる指数減衰の影響が大きい。このように、電解液の伝導度に関する不変法則が見いだされた。 最終年度は、粘度に関する考察も加えた上でまとめ、論文発表ならびに学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延に伴う年度末からの外出規制で、実験者の出勤が規制され、実測が少し遅れている。また、一部試薬中の不純物がやや多いこともわかり、その除去にも若干の時間を費やしている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、マグネシウム系電解液の伝導度・粘度実測値と、モンテカルロシミュレーションに基づいた、それら物理量の理論的解析を併せて論文にまとめ、発表する予定である。また国際学会での口頭発表も行う。 さらに、計画に基づき、マグネシウム電極の表面での溶解析出機構に関する研究を推進する。
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Causes of Carryover |
一部試薬に関して、不純物の問題検討や、調達先の選定に時間を要したため。
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