2022 Fiscal Year Annual Research Report
solution-processed oxide solar cells composed of common metals
Project/Area Number |
18K05310
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
品川 勉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (50416327)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸化物太陽電池 / 水溶液プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素排出量の削減に向けて、太陽電池の活用が改めて注目されている。太陽電池は、単なる発電利用だけでなく、水素社会の構築に向けた水電気分解用電源としても期待され、その普及拡大を安定に持続させるためには、原料資源が豊富な汎用金属(ベースメタル)の利用と、低コストかつ低環境負荷なプロセスでの製造が不可欠である。 こうした背景において、銅や亜鉛、スズといった汎用金属を原料とし、マイルドな水溶液プロセスで作製可能な亜酸化銅(Cu2O)/酸化亜鉛(ZnO)酸化物系太陽電池は、「環境型太陽電池」として注目されている。しかしながら、市販のシリコン系太陽電池やCIGS系太陽電池と比較して、変換効率が低いことが大きな課題であり、理論変換効率18%を目指した取り組みが不可欠な状況である。 本研究では、「環境型太陽電池」のコンセプトを維持しつつ、変換効率の向上に資する酸化物半導体の水溶液析出プロセスを新たに開発し、それを光吸収層とした酸化物太陽電池を構築することを目標としている。 2022年度は、ベースメタルであるFe元素を含むp型半導体の析出条件の探索を実施した。種々の原料を用いて検討したところ、硫酸塩を用いた場合に、Cu-Fe-O酸化物が単相で析出することを見出した。 研究期間全体を通じて、ベースメタル系酸化物太陽電池の変換効率向上および新しい光吸収層の開発に取り組んだ。その結果、MgO系バッファ層導入やCu2Oの電気的特性の改善を検討した。Cu2Oの電気伝導性を改善することはできたものの、p-n接合の整流特性が乏しく、変換効率の向上には至らなかった。一方、新しい光吸収層の開発においては、ベースメタルFeを含む新しい光吸収層の形成手法を見出した。この光吸収層の析出機構や物性制御、デバイス応用などについては、今後進めていく予定である。
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