2019 Fiscal Year Research-status Report
支持脂質膜電気泳動法による巨大膜タンパク質調製と高速AFMによる構造動態解析
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18K05311
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥野 貴士 山形大学, 理学部, 准教授 (80411031)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / マイクロ流路 / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、基板上でヒト培養細胞からの標的膜タンパク質を直接的に濃縮/精製する方法を確立し、これまでに解析が困難であった膜タンパク質(dysferlin)の構造/機能解析を目的としている。昨年度までの研究において、Dysferlin-GFP発現細胞(HEK細胞)の準備と細胞膜を基板表面に固定するステップにおいて、細胞試料のゼータ電位を指標とした効率的な基板固定方法について確立してきた。令和元年度においては、研究進展を妨げていた大きな問題を解消することができ、研究目標達成に近づいた。生じていた問題とは、Dysferlin-GFPを発現したHEK細胞からは、基板固定に用いる細胞膜試料の調製が難しく、Dysferlin-GFPを含む細胞膜をガラス基板に固定する実験が進められなかった。そこで、HEK細胞ではなく,HeLa細胞を用いてDysferlin-GFPを発現する条件を見いだし、HeLa細胞から調製した細胞膜試料から、ガラス基板に固定するプロトコルを見出した。また、固定した細胞膜試料を用いた一分子観察を実施することができた。しかし、標的分子の膜中での拡散速度が速く、奇跡解析までは至っていないが、今後観察条件等を工夫して、膜中でのDysferlin-GFPの物性解析を実施する。また、基板上で標的因子を泳動するシステム構築も並行して実施し、基板表面の化学修飾により、標的分子の泳動効率を制御できることを見いだし、詳細な条件検討および泳動に適した修飾材等の探索への手がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究が確立する膜タンパク質調製方法は大きく、3STEPに分けられる。1)ヒト培養細胞の細胞膜を基板に固定する. 2)電場依存的に標的分子を泳動(移動させる) 3)基板支持脂質膜上に標的分子を濃縮/精製 平成元年度の終了時点で、1)がほぼ終了し、2)も終了する目処がついた。当初の計画では、最終年度には解析を開始する計画であったが、年度末ころから新型コロナウイルスの対応等を受けるなどし、若干の遅れが生じている。 しかし、いくつかの問題も解消でき、研究全体の進展状況としては問題なく、スケジュールを調整することで、研究期間内において研究目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症対策のため、研究活動が3ヶ月ほど休止状態にあり、研究推進にむけたスケージュールの再検討を行った。また、最終年度にあり学会発表を行う予定であるが、成果発表についても再検討が必要となった。 研究期間の短縮に伴うスケジュールへの影響を最小限とするために、当初はdysferlin以外の分子についての解析を検討する予定であったが、標的分子をdysferlinに絞り研究を推進し、効率化を図る。本研究で使用する、マイクロ流路および泳動装置オーダーメイドで作製するが、関連企業の状況によっては、納期が遅れる可能性がある。状況に応じて、新型のマイクロ流路を用いずに、既存のシステムでのデータ取りを行うように工夫し、影響を最小限とする。 また、高速AFMによる構造ダイナミクス解析については、熊本大学にて実施予定であったが、感染症対策による移動自粛期間の影響が大きいため、期間後半にずらし、観察回数を減らす。ただし、取得データ量を限定し、目標達成とする。
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Causes of Carryover |
年度末から新型コロナウイルス感染症対策のため、研究活動が自粛されたため、次年度使用額が生じた.
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