2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05322
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山名 一成 兵庫県立大学, 工学研究科, 特任教授 (70192408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 忠雄 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (60511699)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DNA / バイオセンサー / プラズモニクス / 光電流 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
病気診断や医療応用が可能な検査技術の開発を目的として、核酸(DNA, RNA)の相補配列認識や分子認識機能を利用したバイオセンサーの開発が広く行われている。本研究では、超高感度電気化学DNAセンサーの開発を目指し、DNAの分子認識機能と金属ナノ粒子表面の近接場光を組み合わせた光電流応答システムの基本原理を確立し、極微量の核酸の検出や標的核酸の塩基配列読み出しを光電流によって行うバイオセンサーの開発に関する研究を行った。具体的には、(1) 金ナノ粒子表面に生じる近接場光を利用した電子移動系の構築、(2) 近接場光によってシグナルを増幅する光応答電極デバイスの作製と評価、(3) 光電流によるターゲット核酸(特に癌のバイオマーカーとして注目されているmiRNA)の検出システムの開発、に関する研究を進めてきた。これまでに、DNAのハイブリダイゼーションによって金ナノ粒子を電極表面に配列し、光増感分子を共存させることで光電流が大きく増加することを示した。ターゲット核酸が存在する(二本鎖形成)によって光電流が増加することを明らかにし、核酸検出システムへの応用が可能であることを実証した。さらに、G-四重鎖構造やi-motif構造を形成するDNAを金ナノ粒子表面に修飾した複合体を作製し、近接場光によるDNA構造変化とそれに由来する酵素活性制御についての検討を行った。また、DNA二本鎖形成によるAuNPの積層構造を構築することで、光電流の増幅が可能であるかについて検討した。ハイブリダイゼーション連鎖反応による光電流強度の増幅系を確立し、ターゲット核酸の存在を光電流による高感度検出が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAを表面に修飾した電極を作製し、光増感剤として働く色素分子のポルフィリンやペリレンジイミドをDNAに結合させると光電流応答を示すことを明らかにした。また、二本鎖形成を利用して金ナノ粒子を電極表面に固定し、近接場光によって光電流が増強されることを実証した。さらに、核酸の二本鎖形成によって光電流強度が変化することを利用すれば、標的核酸の検出が可能であることが示された。次に、ハイブリダイゼーション連鎖反応によって電極表面に金ナノ粒子が積層・集積するような反応系の構築を進め、これを利用した微量核酸検出センサーへの応用を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
サイズの異なる金ナノ粒子の積層化や、異なるサイズの金ナノ粒子を複合化させ、より緻密にAuNPを積層させた構造体を構築し、光電流強度の増幅が可能であるかどうかを調べる。さらに、検出ターゲットとなるDNAやRNAが存在することで光電流が生じるデバイスを設計し、標的分子の検出限界について検討を進める。これらの近接場光による光電流強度の増強の最適化を行いつつ、微量の標的核酸(DNA, RNA)をPCR-freeで直接検出可能な光センサーの開発を目指し、等温ハイブリダイゼーション連鎖反応やLAMPによる増幅系を組み合わせたシグナル増幅システムを確立し、高感度バイオセンサーへの応用を試みる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況にて、実験に必要な実験器具消耗品等またDNA合成試薬、金ナノ粒子溶液も当初の予定ほどせず、参加予定していた学会が開催されなかったこと等により次年度使用額が生じた。
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