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2019 Fiscal Year Research-status Report

癌発生機序の解明を目指した酸化還元酵素を基盤とするタンパク質ネットワークの理解

Research Project

Project/Area Number 18K05329
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

野村 尚生  北海道大学, 薬学研究院, 特任助教 (90597840)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords癌 / ミトコンドリア / 機能解明
Outline of Annual Research Achievements

癌幹細胞を得る手段として、初代培養細胞以外では、多くの研究者は薬剤による耐性獲得細胞株を癌幹細胞として調製しているが、これはあくまでも“薬剤耐性株”であり、真の癌幹細胞なのかはわかっていない。癌幹細胞は通常の癌細胞内にわずかに含まれると考えられる。申請者は複数の手法を組み合わせ、癌細胞株中にごく微量存在する癌幹細胞様細胞を単離することに成功した。申請段階では、微量すぎて培養することが困難であった、乳癌細胞などにおける癌幹細胞様細胞を効率的に培養する手法を開発した。これにより、複数種類の癌幹細胞様細胞を用いて、開発したHE-Iのミトコンドリアにおける機能を解析することが可能となった。加えて、細胞形態、細胞表面タンパク質variant解析などを複合することで、癌幹細胞様細胞の不均一性が明らかとなり、シングルセルとして単離することで、3段階に癌幹細胞様細胞の性質をランク分けし、クローン化を行った。昨年までは、大腸癌細胞株のみが完遂されていたが、今年度は乳癌細胞株について癌幹細胞株化を推進した。さらなる解析として、ERO1やPDIなどの酸化還元調節酵素、HIF-1などの転写因子に関して発現解析を行なった。さらに、当初計画以上に研究が進展し、HE-Iの癌細胞、癌幹細胞様細胞における動物実験などを行うなど、新たな知見を得ることに成功し、今後、その知見を広げることで癌の成り立ちについての理解に貢献することが期待できる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度は癌幹細胞様細胞の調製に当たる。申請段階では微量すぎ、それのみでは生存性が低く培養に不向きであった癌細胞において、それらを改善する手法を開発し、効率的に癌幹細胞様細胞を調整することに成功した。また、シングルセル解析;セルソーターSH800(Sony Japan)を行ったところ、現在までの癌幹細胞様細胞では不均一であり、クローン化する必要があることが判明し、大腸癌由来の癌幹細胞様細胞をクローン化し、4株の状態の違う癌幹細胞様細胞を単離した。細胞接着が弱くなった、つまり間葉転換が促進された細胞株と考えられる細胞をクローン化することに成功しており、本年度はこれを乳癌細胞株に展開することで、複数種類の癌幹細胞様細胞を調製することに成功した。
すでに本年度に開始予定であったミトコンドリア遺伝子異常解析については初年度に予備実験を行っており、ミトコンドリアにおける酸素ラジカルの発生に調製した癌幹細胞様細胞と元の癌幹細胞において若干ではあるが、過酸化水素の発生量が少なくなっているが、他の酸素ラジカルの量が増えている結果を得た。これは解糖系によらず嫌気状態でのエネルギー産生の増強を示唆していると考えられる。
また、さらにHE-Iを用いた動物実験を並行して進めており、癌細胞だけでなく癌幹細胞様細胞をXenograft試験の結果、HE-Iは有用な抗癌剤に展開できることを示した。

Strategy for Future Research Activity

癌幹細胞様細胞の調製に成功している大腸癌細胞系を先行して行なったが、ついで乳癌細胞系を用いてミトコンドリアにおける活性酸素腫解析を進める。また、蛍光顕微鏡(オールインワン顕微鏡 BZ-X700, Keyence)だけでなく、セルソーター(SH800, Sony Japan)を用いて蛍光試薬を複数用いて蛍光選択による細胞分取を行うことで、スフェロイド培養の有無による細胞比率の変化を解析することで、嫌気状態による解糖系の変化を解析を目指す。同時に所有するハイコンテンツイメージング解析(Operetta, Perkin Elmer)を用いて、細胞内のミトコンドリア部位に限定して空間的分布解析を行い、データの取捨選択を行う。ミトコンドリア遺伝子異常解析以外にも、エピゲノム解析、発現量解析、CAGE法を計画しており、電子伝達に関与するタンパク質を網羅的に解析する。

Causes of Carryover

初年度にエレクトロポレーター Neon Transfection System(ライフテクノロジーズジャパン)を購入予定であったが、同等品が使用できる様になったため、個人研究としての購入を控えた。機器の共用化に伴い、次世代シーケンサーや細胞培養に関する消耗品の個人購入をする必要がなく、比較的安価に実験を遂行する事ができたため。また、ハイコンテンツイメージング用に3次元画像解析用PCの購入を新たに計画しており、最終年度に購入を行う。さらに、HE-Iの合成についても誘導体の展開を急ぐ必要があり、合成用の備品購入を新たに計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] The tetramerization domain of the tree shrew p53 protein displays unique thermostability despite sharing high sequence identity with the human p53 protein2020

    • Author(s)
      Nakagawa Natsumi、Sakaguchi Shuya、Nomura Takao、Kamada Rui、Omichinski James G.、Sakaguchi Kazuyasu
    • Journal Title

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      Volume: 521 Pages: 681~686

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.10.130

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 小胞体ストレス応答性酸化還元調節酵素を標的とした創薬スクリーニング2019

    • Author(s)
      野村尚生、松丸尊紀、春山知樹、前田直良、奥村正樹、金村進吾、稲葉謙次、田村保明、前仲勝実
    • Organizer
      第92回日本生化学会大会
    • Invited
  • [Presentation] Academia anti-cancer Drug Discovery targeted for ER-stress Responsive Enzyme2019

    • Author(s)
      野村尚生、松丸尊紀、春山知樹、前田直良、奥村正樹、金村進吾、稲葉謙次、田村保明、前仲勝実
    • Organizer
      第42回日本分子生物学会年会
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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