2020 Fiscal Year Research-status Report
液滴の変形能を利用した微生物スクリーニングによるバイオマス分解酵素遺伝子の取得
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18K05330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 怜 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90541954)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 液滴 / マイクロ流体デバイス / 酵素 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,Water-in-oil型液滴(以下,液滴と表記する)の変形能に基づき,バイオマス分解微生物を1細胞単位でスクリーニングする方法を確立するとともに,それを利用して新たな難分解性バイオマス分解酵素遺伝子を取得することを目的としている.令和2年度は,環境中からアガロース分解菌をスクリーニングし,アガロース分解酵素遺伝子の取得を目指した. 液滴の変形能に基づくバイオマス分解微生物のスクリーニングは,研究初年度に開発した,流路の天井に2本のレールを配した液滴ソーティングチップを用いた.基質となるバイオマスと微生物を1細胞単位で封入した液滴を一方のレールに沿わせて流す.あるところで幅の広いレールが現れると,液滴に対し流体抗力が働く.この時,変形を受けにくい(バイオマスが分解していない)液滴は同じレール上にとどまり移動するのに対し,変形を受けやすい(バイオマスが分解した)液滴はもう一方のレールに乗り移って移動する.これにより,バイオマス分解微生物のスクリーニングが可能となる. 環境試料として,深海の海水を用いた.アガロースとともに,限外濾過により濃縮した海水を液滴に封入した.一定時間インキュベーションした後,変形能が増大した液滴を分取した.液滴より回収した菌のゲノムをMultiple displacement amplification法により増幅し,次世代シーケンサー(MiSeq)を用いてその配列を解読した.しかし,標的とした菌のゲノムが十分に増幅されず,アガロース分解酵素遺伝子の取得には至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で計画通りに研究を遂行することができなったが,掲げた目標はおおむね達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
海水などからアガロース分解菌をスクリーニングし,アガロース分解酵素遺伝子の取得を目指す.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,研究の遂行に不可欠な試料・試薬が入手できなかった.このため,予定していた規模で研究を遂行することができず,未使用額が生じた.未使用額は当該研究を継続・発展させるための経費に充てる.
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Research Products
(9 results)