2018 Fiscal Year Research-status Report
天然長鎖ポリオール化合物の利活用・機能解明のための化合物同定・生物活性評価
Project/Area Number |
18K05333
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
犬塚 俊康 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 助教 (50467271)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 渦鞭毛藻 / 単離 / 構造解析 / NMR / MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の海産渦鞭毛藻の生産する二次代謝産物を探索した。 沖縄県石垣島産渦鞭毛藻Amphidinium sp.から、分子量2223と推定される新規化合物amdigenol Dの単離法を確立した。MS/MS分析と、NMRスペクトル解析より、同じ渦鞭毛藻が生産する長鎖ポリオール化合物amdigenol Aと、硫酸基を含む炭素鎖末端が同一の部分構造であることを推定することができた。また、オキシメチン、共役オレフィンなどの部分構造が両者で異なることも分かった。現在、全構造を決定するため、NMRスペクトル解析を進めている。また、化合物を化学分解して、断片の構造を決定することで化合物全体の構造を解明するための、分解反応条件の検討を進めている。 また、沖縄県西表島産渦鞭毛藻Amphidinium Carterae Hulburt(NIES-331)の生産する物質について、P388マウス白血病細胞に対する細胞毒性を指標に細胞毒性化合物の探索研究を行った結果、3種類の化合物を単離することができた。それらのうちの1つは、既知の細胞毒性物質grasshopper ketoneであった。残る2種類の化合物の構造解析を、NMRスペクトル解析により行った。このうちの1つは、NMRスペクトル解析より解明できた部分構造から、新規化合物であることが推定された。もう1つの化合物は、α,β不飽和ケトンを含む直鎖状の炭素鎖構造をもつ化合物であるとNMRスペクトル解析より明らかとなった。現在、両者の構造を決定するため、IRスペクトル等による官能基の推定、マススペクトル測定による分子量、分子組成の決定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種の渦鞭毛藻より、4種類の二次代謝産物を単離することができた。そして、それらのうちの2種の化合物は、新規化合物であることが予想されている。 渦鞭毛藻からの新規化合物の単離法は、ともに確立できたため、今後、渦鞭毛藻の培養量を増やすことで構造解析に十分な量の化合物を供給できると考えられる。そして、NMRなどのスペクトル解析と、誘導化・分解反応を経て、それらの構造を解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
構造解析中の化合物のうち、amdigenol Dについては、分子量が2000以上と大きく、NMRスペクトル解析のみでは構造を決定できないと予想されるため、分解反応により化合物を断片化して単純化する必要がある。これまでに、類縁化合物のamdigenol Aに対してGrubbs触媒を用いた加エテン開裂反応による断片化の例はあるが、一部の断片のみしか単離、構造解析できていない。分解反応後の生成断片を単離する手法の確立が必要になる。
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Research Products
(6 results)