2019 Fiscal Year Research-status Report
沖縄産海洋生物由来の糖取り込み促進活性物質の探索と作用機序の解明
Project/Area Number |
18K05337
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
照屋 俊明 琉球大学, 教育学部, 教授 (90375428)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海洋シアノバクテリア / リポペプチド / L6筋管細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに糸満市大度海岸で採集した海洋シアノバクテリアOkeania sp.からL6筋管細胞への糖取り込みを促進する化合物としてmabuniamideを単離、構造決定している。得られたmabuniamideには2つのN-Me-Phe残基が含まれることから、部分加水分解で得られたペプチドフラグメントのアミノ酸配列についてMSスペクトルを解析し決定した。そのペプチドフラグメントを完全加水分解しMarfey試薬と反応させた。得られたMarfey誘導化したアミノ酸はHPLC分析に付し、それぞれのN-Me-Phe残基の絶対立体配置を決定した。次に決定したmabuniamideの絶対配置が正しいか確認するため、mabuniamideとmabuniamide に存在する2つのN-Me-Phe残基を入れ替えた立体異性体を合成した。合成したmabuniamideと海洋シアノバクテリアから単離したmabuniamideの各種スペクトルデータは一致し、どちらもラット由来L6筋管細胞への糖取り込みを促進することが明らかとなった。一方、2つのN-Me-Phe残基を入れ替えた立体異性体と海洋シアノバクテリアから単離したmabuniamideの各種スペクトルデータは一致せず、合成した立体異性体はラット由来L6筋管細胞への糖取り込みを促進しなかった。また、同じく糸満市大度海岸で採集した海洋シアノバクテリアCaldora penicillataより単離した2種類のリポペプチドの脂肪酸部位の絶対立体配置が未決定であった。得られたそれぞれのリポペプチドを加水分解し、分解物をフェナシルブロミド誘導体に導いた。得られたフェナシルブロミド誘導体はキラルカラムを用いるHPLC分析により、それぞれのリポペプチドに含まれる脂肪酸部位の絶対立体配置を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに3種類のリポペプチドを単離し、その絶対立体配置を決定した。得られたリポペプチドにうち2種類はラット由来L6筋管細胞への糖取り込みを促進することが明らかとなっていることから、化合物の単離、構造決定、薬理活性評価については当初の計画通り順調に進んでいる。一方、得られた化合物の作用機構に関する研究はやや遅れている。以上を総合的に評価すると、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られたリポペプチドに作用機序の解析を進める予定である。また、本部町付近の海岸で採集した海洋ラン藻類から、4種類のリポペプチドを単離した。得られた4種類のリポペプチドについては化学構造式を明らかにし、ラット由来L6筋管細胞への糖取り込みを促進するか確認する予定である。
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Causes of Carryover |
これまでに得られた3種類のリポペプチドと、現在構造決定を行っている4種類のリポペプチドについては、同時に作用機序の解析を行う方が効率的だと考えたため、次年度使用額が生じた。次年度は4種類のリポペプチドについて各種スペクトルデータにより化学構造式を決定し、分解、誘導反応を行い絶対立体配置を決定する予定である。さらにこれまでに得られたリポペプチドの作用機序を検討する予定である。
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