2019 Fiscal Year Research-status Report
小分子化合物を用いた活性窒素による神経細胞傷害機構の解明
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18K05343
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
紙透 伸治 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (30553846)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経保護 / 活性窒素 / 微生物代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性窒素(RNS)による中枢神経細胞傷害は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患との関連性が知られている。前年度は、RNSによる神経細胞傷害に対して保護効果を示す化合物を真菌の代謝産物から探索し、Pestalotiopsis microsporaから新規ハイドロキノン誘導体pestalotioquinol Aを見出した。Pestalotioquinol Aは神経様細胞に分化したラット副腎褐色細胞腫(PC12)に3 μMの前処理を行うことで、化合物非存在下でRNSであるONOO-供与体;SIN-1によって誘導される細胞傷害を有意に抑制した。本年度はまず、pestalotioquinol Aのヒドロキシ基の絶対配置を解析した。Pstalotioquinol AをMTPAエステル化し、改良モッシャー法により絶対配置を決定した。 さらに、pestalotioquinol Aの保護活性は細胞傷害を誘導する活性種に対して選択性を示すか検討した。RNSであるNO供与体;NOR-3、活性酸素種(ROS)産生を誘導する2-methyl-1,4-naphthoquinone(menadione)、rotenoneおよび過酸化水素を用いて細胞傷害を誘導後、神経細胞保護活性試験を行った。その結果、NOR-3による細胞傷害に対しては神経細胞保護活性が示されたが、ROSによる細胞傷害に対しては神経細胞保護活性が示されなかった。この結果より、pesAの神経細胞保護活性はSIN-1やNOR-3などのRNSによる細胞傷害特異的であることが示唆された。 一方、前年度同様にPC12を用いてSIN-1による細胞障害から保護する化合物を真菌代謝産物からさらにスクリーニングした。その結果、複数のヒット化合物が得られており、これらも並行して解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で発見された新規化合物pestalotioquinol Aは既に論文化されている。さらにこの化合物は活性窒素種に特異性を示し、この化合物のユニークな性質が示唆されている。また、この他にも神経保護活性を示すヒット化合物が得られており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従ってPestalotioquinol Aを誘導化し、細胞内の局在や結合タンパク質を解析する。また、細胞内のグルタチオンなどの内因性抗酸化物質の量などを調べる。他のヒット化合物に関しては、活性窒素種に対する特異性などを解析する。
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Causes of Carryover |
神経保護活性を示す複数のヒット化合物が早く得られ、スクリーニングを予定よりも早く終わらせることができた。このため、スクリーニングで使用する予定であった消耗品費等を次年度に繰り越すことにした。生じた次年度使用額は得られたヒット化合物の作用機構解析をするための消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(11 results)