2019 Fiscal Year Research-status Report
グアニン四重鎖を標的としたAXLの抑制と、可視化プローブを用いた作用機構の検証
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18K05349
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
飯田 圭介 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (70719773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 / G4 / G4リガンド / 蛍光 / Light up |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、細胞内の分子環境に応じて、グアニン四重鎖 (G4) と呼ばれる核酸の高次構造が形成されることが明らかとなっている。G4は、複製、転写、翻訳、さらにはmicro RNAやlong non-coding RNAの機能制御にも寄与することが報告されている。G4の新規機能の理解、制御に役立つのがG4に結合・安定化することが出来る化合物、G4リガンドであり、本研究ではこれらを扱う研究に取り組む。 前年度までに、G4を特異的に安定化、蛍光検出出来るLight up型蛍光G4リガンドを開発している。 実際に設計した化合物 (上図) の特徴を以下の通り。一つは骨格が持つ高い平面性と豊富なπ電子はG-quartetとのπ-π相互作用に有利となること。もうひとつは、設計した骨格はG-quartetと同程度のサイズを有するため、G4への結合能獲得と、二本鎖への非特異的相互作用を低減することができることである。また、蛍光部位に関しては以下の二種類の蛍光団骨格をハイブリッドしたことが特徴となる。すなわちソルバトクロミズム特性を有するBrooker’s MerocyanineとESIPTを起こすことが可能なヒドロキシベンズアゾールである。 詳細は割愛するが、これらを組み合わせることで、ソルバトクロミズム特性により化合物の蛍光波長がG4との結合前後でシフトし、ESIPTによって非常に大きいストークスシフトを示すこと、DIEにより、水中で化合物の蛍光が消光しG4との結合により蛍光が増大することがそれぞれ明らかとなった。
今年度は生細胞内での可視化を目指し、種々の誘導体合成を検討した。その結果、誘導体の一つにおいては、多少活性は減弱したが、生細胞内を可視化出来る誘導体があることを発見した。また、興味深いことに、中にはがん細胞に対して増殖抑制活性を有する誘導体もあることが見出された。今後はビオチン化した誘導体を合成して更なる検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
G4を生細胞で観察できる誘導体を取得できたので。
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチンで修飾した誘導体を合成し、固定化した細胞を用いて、より感度の高い蛍光検出と標的G4の同定に取り組んでいきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
有機合成を主に行っており、高額な試薬が多くなかったため。併せて、次年度高額な抗体や生化学関連試薬を購入予定であり、研究費を多く使用する予定であったため。
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Research Products
(8 results)