2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of covalent modifier evaluation method using HDX
Project/Area Number |
18K05361
|
Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 俊将 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (80536110)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 水素重水素交換反応 / HDX / 共有結合型医薬品開発 / FBDD / 核内受容体 / PPAR / VDR / RXR |
Outline of Annual Research Achievements |
共有結合性医薬品の切れ味や特色から共有結合型のリガンドの開発が見直されている。しかし、共有結合性分子の評価に関しては非特異的結合かヒットかを簡便に見分ける手法が無い。申請者は標的タンパク質への結合の検出ではなく、共有結合後のゆらぎに着目すれば、共有結合性医薬品創製のための評価法の一つになると考えた。本申請はタンパク質のゆらぎ(≒安定性)を比較することで共有結合性化合物群からヒット化合物を効率よく見出す手法の開発研究を目的としている。 水素結合を形成している原子のゆらぎが大きければ大きいほど、+Hの交換が進行しやすいことになる。ここで重水を添加すると、+Dへの置換反応が進行するため、質量差を用いて各 2 次構造に対するゆらぎの程度を知ることができる。これを水素-重水素交換反応(HDX)という。まず最初に共役オレフィン,イソチオシアネート,ハロゲン化物,などを含む共有結合性化合物を購入しライブラリーを作成した。つぎに創薬研究のモデルタンパク質である PPARγとVDRを用い対応する非共有結合型の既知のリガンドについて,HDXを行った。その結果,リガンド大きさまたはアゴニスト活性とHDXの抑制には相関関係が認められた。この結果は予想した通り簡便な手法でもHDXが機能し所期の目的が達成可能であることを示している。そこでPPARγと共有結合型低分子化合物の共有結合実験を行った。3割程度の化合物がPPARγに対し共有結合することが判明した。次に共有結合性を示した化合物とPPARγの化合物を共有結合させた後HDXを実施した。ヒットしたヨード酢酸など近い構造を有するヨードアセトアミドを用いてHDX実験を行ったところ,ヨード酢酸と同様に水素重水素交換反応が抑制できた。従って,本手法による共有結合型化合物の探索は可能であると示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備試験を 医薬品の標的分子である PPARγと VDR を用い実施した結果、簡素化した操作にもかかわらず、安定性と水素重水素交換反応に相関関係が見られた。期待した通りの結果が出たため、当初予定していた次の段階へ実験を進めることができた。また、PPARに関して共有結合型化合物のスクリーニング実験を行った結果、ヒット化合物が得られた。さらにこのヒット化合物の類縁体も同様の挙動を示し、HDXも抑制した。以上から、ヒット化合物は擬陽性ではなく、安定化に意味のある相互作用をしていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒット化合物存在下CDスペクトルの熱変性実験を行い、本HDX実験との相関関係がどの程度あるのかを明らかにする。標的は核内受容体のVDR、 RXRおよび 酵素であるカルボキシペプチダーゼB、CYP1B1にて同様のHDX実験を行い、本手法の適用範囲、限界を明らかにする。また、適宜 複合体のX-線結晶構造解析を行い安定化メカニズムも合わせて解明する予定である。
|