2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of covalent modifier evaluation method using HDX
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18K05361
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 俊将 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (80536110)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水素重水素交換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
共有結合型の医薬品には、アスピリンをはじめとしβ-ラクタム系抗生剤等広く使用されている。創薬研究においては共有結合が予想される官能基を含んだ化合物は非特異的な結合の性質が問題となるためスクリーニングから除外されている。一方、共有結合性医薬品の切れ味や特色から共有結合型のリガンドの開発が見直されている。しかし、共有結合性分子の評価に関しては非特異的結合かヒットかを簡便に見分ける手法が無い。申請者は共有結合後のゆらぎに着目すれば、共有結合性医薬品創製のための評価法の一つになると考えゆらぎの程度をタンパク質全体の質量変化として評価する(水素重水素交換反応ことで、簡便にタンパク質の安定化を測定することが可能となる。創薬研究のモデルタンパク質の一つである PPARγと研究の進んでいない創薬研究の標的分子であるHepatocyte nuclear factor 4 alpha(HNF4α)に対してHDX実験を行い共有結合と安定性の関係を比較した。共有結合モチーフを有する14種類の化合物を検討したところ,PPARγでは5種類の化合物で共有結合が認められ,その内フェニル基を有する化合物が安定化した。HNF4αに関しては,2種類が共有結合を形成した。興味深いことに,化合物と共有結合したHNF4αはapoHNF4αより重水素交換が強く加速され,2種類とも大きく不安定化した結果となった。HNF4αは小さい化合物にもかかわらず共有結合を形成することにより,不安定になることが示唆された。これらの結果は、PPARγとHNF4αでは共有結合に対する振る舞いが正反対であることを意味する。本法はスクリーニングのみでなく,標的分子に対応した創薬研究に有益な情報を与える一つの実験手法になると考えられる。
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