2021 Fiscal Year Annual Research Report
Characteristics and community dynamics of microaerophilic iron-oxidizing bacteria in paddy field soil
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18K05372
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 健史 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (60547016)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄酸化細菌 / 水田 / 鉄酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度コロナ禍で行うことできなかった室内モデル実験を行い、水田土壌中の鉄の酸化還元状態の変化と微好気性鉄酸化細菌群集の動態の関係を解析した。 風乾した土壌(連年水田、輪換田(畑)、輪換田(水田))をガラスシリンジを用いて4週間湛水培養し、その後、シリンジの先端を開放して落水した。その結果、活性2価鉄量はいずれの土壌でも湛水中に増加し、落水すると約2週間でほぼ0まで減少した。ただし、湛水中の2価鉄量の増加速度は、輪換田より連年水田で高く、輪換田では、水田の方が畑よりも高かった。次に、土壌よりDNAを抽出し、Gallionellaceae科の微好気性鉄酸化細菌16S rRNA遺伝子を対象としたreal-time PCR解析を行った。その結果、連年水田では落水後に16S rRNA遺伝子コピー数が顕著に増加した。一方、輪換田では水田、畑を問わず、落水前後で顕著な変化は見られなかった。 以上の結果より、連年水田では、落水時にGallionellaceae科の微好気性鉄酸化細菌が増殖し、落水時の鉄酸化過程に関与していたことが示唆された。一方、輪換田では、そのような傾向は見られなかった。圃場では、連年水田、輪換田どちらもGallionellaceae科微好気性鉄酸化細菌16S rRNA遺伝子コピー数の増減が見られたことから、湛水中に生成した気泡などが落水後の透水性に影響を与え、結果として鉄酸化過程にも影響した可能性が考えられた。したがって、本実験での輪換田の土壌では、非生物的な鉄酸化反応が優先して起こり、微好気性鉄酸化細菌による鉄酸化の寄与は小さかったと考えられた。 今後、落水時の条件を揃えた上で、微好気性鉄酸化細菌と水田土壌の鉄酸化の関係についてさらに解析を進める必要があると考えられた。
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Research Products
(2 results)