2019 Fiscal Year Research-status Report
根粒菌ーマメ科植物共生系における共生生物間の鉄輸送システムの解明
Project/Area Number |
18K05374
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 尚子 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (60771699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 幸子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (50773347)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイズ / 毛状根 / 鉄輸送体 / 根粒 / Agrobacterium rhizogenes |
Outline of Annual Research Achievements |
マメ科植物と根粒菌が共生する根粒の感染細胞内では、植物細胞質と根粒菌バクテロイドの両者が微量元素である鉄を要求する。ダイズ根粒内感染細胞において植物細胞側と根粒菌バクテロイド側はペリバクテロイド膜により隔離される。このため、根粒菌バクテロイドには植物細胞質からペリバクテロイド膜を介して鉄が供給されていると考えられるが、この鉄輸送を担う輸送体は明らかになっていなかった。そこで本研究ではペリバクテロイド膜に局在し植物細胞側からバクテロイド側へ鉄を輸送するタンパク質の同定を目的に研究を行っている。 前年度までに、これまでペリバクテロイド膜局在鉄輸送体と報告されているGmDMT1のCRISPR/Cas9によるゲノム編集用ベクターpMgP237::GmDMT1を作製し、これを導入したAgrobacterium rhizogenes K599株形質転換体を作出した。また野生型のK599株とpMgP237::GmDMT1形質転換体をダイズに感染させ毛状根を誘導するところまで達成した。 2019年度はダイズ毛状根およびダイズ形質転換体毛状根の培養による維持、毛状根からの根粒形成を目標とした。前年度まではダイズ子葉から毛状根を発生させるところまでは出来ていたが、継代が出来ていなかった。本年度は培地の組成を変更し、植え継ぎによる継代維持を可能とした。また、液体培養により毛状根の伸長が旺盛になることが分かった。そこで毛状根への根粒着生方法として、液体培養で増やした毛状根を根粒菌接種寒天培地プレートに植え継ぎし増殖させることにした。これまで培地の組成を変えて毛状根への根粒着生を試しているが今のところ根粒は観察されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の研究でダイズ毛状根の培養は可能になったが毛状根への根粒着生が予想通りに出来ず、培地の条件検討に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイズ毛状根が想像していたより細く、できるだけ太くなるような条件を探してはいる。しかし、根粒着生が可能になっても、毛状根が細いために根粒も小粒にとどまり、元素分析など解析をするのが困難ではないかと考えられる。そこで、毛状根に根粒をつけるのではなく、一旦毛状根からカルスに脱分化し、植物体を再生させて出来た形質転換体ダイズの根に根粒を着生させる方法を考えている。この方法が確立できれば、ダイズの形質転換体作製にかかる時間を短縮でき、ダイズの逆遺伝的学な解析に有用な手法となると考えられる。
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Causes of Carryover |
根粒のプロテオーム解析用の試薬を購入する予定だったが2019年度は毛状根への根粒着生の研究をしたので、試薬代が未使用のまま持ち越された。
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