2019 Fiscal Year Research-status Report
植物プロテアーゼによるマメ科根粒のエイジング機構の解明
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18K05381
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
下田 宜司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (80415455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箱山 雅生 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60422804)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根粒共生 / マメ科植物 / プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、前年度に作成した根粒特異的アスパラギン酸プロテアーゼを過剰発現する形質転換ミヤコグサのT1およびT2系統の窒素固定活性の評価を行った。高濃度の窒素処理によって人工的に根粒の老化を誘導した場合、および根粒菌接種後8週目の自然老化根粒において窒素固定活性を調査した。その結果、野生型のアスパラギン酸プロテアーゼを導入した系統において、変異型や空ベクターを導入した系統に比べ、窒素固定活性が若干上昇する系統が見いだされたが、全ての過剰発現系統で窒素固定が上昇するという効果は認められず、アスパラギン酸プロテアーゼの発現量と窒素固定活性の間に明確な相関は現時点では確認できなかった。その後の解析の結果、内生のアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子の発現が非常に強いため、過剰発現の効果が顕在化しづらいことが原因である可能性が見いだされた。この問題を解消するため、今年度新たに根粒老化時に誘導されるシステインプロテアーゼ遺伝子のプロモーターを利用することとし、老化根粒におけるプロモーター活性を確認する実験を開始した。また今年度は、アスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子、および他の窒素固定関連遺伝子を欠損するミヤコグサの共生変異体を用いたRNA-seq解析のデータをもとに、根粒老化時に誘導されるシステインプロテアーゼ遺伝子と共発現する転写因子の候補を複数同定した。同定した転写因子について、他の植物ホモログとの系統関係や予想される機能についての情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質転換体の表現型解析とプロテアーゼ遺伝子の発現制御に関わると予想される転写因子候補の絞り込みが進んだことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテアーゼ遺伝子の発現制御に関わることが予想される転写因子候補について、機能解析を進める。またシステインプロテアーゼ遺伝子のプロモーター活性を検証し、根粒老化時の発現誘導系の構築を行う。
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Causes of Carryover |
共発現データの解析方法の改善や精度の向上などのデータ解析を中心に実施し、実験による検証の一部を次年度に行う計画としたため、未使用額が生じた。これらの予算は次年度に転写因子候補の発現解析等の実験に使用する。
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