2019 Fiscal Year Research-status Report
不完全TCA回路の補完性を利用したアミノ酸水酸化酵素探索ツールの開発と応用
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18K05400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 良太郎 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70553535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | dioxygenase / screening / amino acid / 2-oxoglutarate / hydroxylation / trans-3-hydroxyproline / 3-hydroxyhistidine / 3-hydroxyglutamine |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、工業的に有用なヒドロキシアミノ酸合成に用いるアミノ酸水酸化酵素の探索ツールを構築し、それを利用して新規酵素を発見することである。さらに、物質生産への応用展開も目指す。 今年度は、アミノ酸水酸化酵素の種類を拡張すべく、酵素探索を中心に研究を実施した。まず、既に構築している2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼ群の基質特異性を改めて評価した。その結果、従来は機能が不明であったタンパク質において、L-ヒスチジンおよびL-グルタミン水酸化活性を検出した。酵素反応によって生成した化合物の単結晶を晶析によって取得し、X-線結晶構造解析を行った。その結果、どちらとも絶対構造は、(2S,3S)-体であることが判明した。 続いて、取得した酵素の諸性質を解析し、最適反応条件を決定した。本結果に基づき、酵素を発現させた組換え大腸菌の菌体を触媒としたL-ヒスチジンおよびL-グルタミンの水酸化反応を実施した。その結果、150 mMのL-ヒスチジンから140 mMの(2S,3S)-3-ヒドロキシヒスチジン、200 mMのL-グルタミンから140 mMの(2S,3S)-3-ヒドロキシグルタミンを生産した。以上より、本研究で目指すヒドロキシアミノ酸の新規バイオ生産プロセスの一つが構築された。 前年度構築した不完全TCA回路を利用したtrans-3-ヒドロキシプロリンの生産について、学会発表ならびに論文発表を行った。さらに、trans-3-ヒドロキシプロリンを含む多様なヒドロキシプロリンの酵素的合成に関する総説を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築済の2-オキソグルタル酸依存型酵素ジオキシゲナーゼにおいては、L-リジン水酸化活性を見出していた。本研究では、多様なヒドロキシアミノ酸生産に向け、L-リジンに限定しない水酸化活性を期待し、全タンパク質構成性アミノ酸を検討した。その結果、L-ヒスチジンおよびL-グルタミンに対する水酸化活性を見出した。さらに、組換え大腸菌菌体を触媒として用いたL-ヒスチジンとL-グルタミンの水酸化反応においても、不完全TCA回路の有効性が発揮された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、取得したアミノ酸水酸化酵素の基質特異性改変を目指し、ランダム変異導入を継続して検討する。 今年度の成果である(2S,3S)-3-ヒドロキシヒスチジンおよび(2S,3S)-3-ヒドロキシグルタミンの微生物生産は初の試みであるため、論文発表を予定している。
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Research Products
(4 results)