2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism analysis for lipid synthesis, degradation, and accumulation and its application in the oleaginous yeast
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18K05401
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
高久 洋暁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (70350717)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 油脂酵母 / Lipomyces starkeyi / 油脂蓄積変異株 / Percoll密度勾配遠心法 |
Outline of Annual Research Achievements |
油脂酵母Lipomyces starkeyiは、様々な糖を資化して、細胞内に油脂を蓄積するユニークで産業価値の高い酵母である。近年、油脂の安定供給問題や再生利用可能資源利用の観点から、微生物による油脂生産が注目を浴びている。しかしながら、油脂酵母の特徴的な油脂生産(合成・分解・蓄積)については分子レベルで明確にされていない。本年度は油脂生産メカニズム解明の糸口となる油脂蓄積変異株を取得し、油脂蓄積性の解析を行った。 油脂蓄積変異株を取得するために、L. starkeyi CBS1807株に変異原物質エチルメタンスルホン酸を処理して変異を誘発させた変異株群を培養し、Percoll密度勾配遠心法により、油脂蓄積画分を分取した。水と油の密度の違いにより、Percollに菌体を混合し遠心すると油脂を高蓄積した細胞は上層に、油脂を低蓄積した細胞は下層に分画できるため、この画分を分取・培養・分画を繰り返すことにより、油脂蓄積変異候補株を含むと考えられる画分を獲得した。得られた画分溶液をプレートに撒き、シングルコロニー単離を行い、油脂染色蛍光試薬Nile redで油脂蓄積性を評価するスクリーニングを実施した結果、油脂高蓄積変異株3株(HA1,HA 2, HA3)、油脂低蓄積変異株2株 (LA1, LA2)を獲得した。 野生株、油脂蓄積変異株、油脂低蓄積変異株の細胞濃度、糖濃度、油脂生産量の経時的変化を解析した。野生株と油脂高蓄積変異株の比較培養において、1日目では全ての株の油脂生産量は変わらなかったが、3日目では全ての油脂高蓄積変異株の油脂生産量が野生株の1.4-1.7倍に増加していた。しかしながら、高蓄積変異株の細胞濃度は野生株よりも低くなっていた。また、野生株と油脂低蓄積変異株の比較培養においては、1日目の油脂生産量は変わらなかったが、3日目の油脂低蓄積変異株の油脂生産量は野生株の0.6倍であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、油脂高蓄積及び低蓄積の有用な情報を有する油脂高蓄積変異株を3株、油脂低蓄積変異株を2株取得し、その油脂蓄積性の解析を行った。油脂蓄積の解析により、表現型がはっきりした変異株が取得できた。初年度の目的であった油脂高蓄積及び低蓄積変異株の取得と解析が実施でき、2年目以降に実施する「野生株と変異株の油脂生産関連遺伝子発現の比較解析」を実施する体制が整ったことにより、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 野生株と変異株の油脂生産関連遺伝子発現の比較解析及び標的遺伝子の機能解析 野生株と平成30年度に取得した油脂高蓄積変異株3株、油脂低蓄積変異株2株におけるL. starkeyiの油脂合成・分解経路のリアルタイムPCRによる遺伝子発現比較解析を行う事により、遺伝子発現パターンがことなる遺伝子を同定する。 2. 油脂蓄積変異株の変異遺伝子同定及び機能解析 野生株と平成30年度に取得した油脂高蓄積変異株3株、油脂低蓄積変異株2株のゲノム比較解析を行うことにより、変異遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
計画していた油脂蓄積変異株の取得のためのスクリーニングが、Percoll密度勾配遠心法による蓄積変異株の濃縮の効果による効率化で1回で済んだためである。 本年度は、取得できた油脂蓄積変異株が予想よりも多く5株もあったので、ゲノム配列解読を助成金が許す限り実施し、多くの情報を集積する。
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Research Products
(8 results)