2019 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism analysis for lipid synthesis, degradation, and accumulation and its application in the oleaginous yeast
Project/Area Number |
18K05401
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
高久 洋暁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (70350717)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 油脂酵母 / 油脂 / 変異株 / アシルCoA合成 / ケネディ経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象微生物の油脂酵母Lipomyces starkeyiは、デンプン、キシロース、セルビオースなどの様々な糖を資化して、細胞内に油脂を高蓄積することが可能な産業価値の高い酵母である。近年、世界人口の増加による油脂に需要増加は著しく、需要に対する油脂の安定供給や地球環境問題の観点から、微生物による油脂生産の社会利用への期待が大きくなってきている。しかしながら、油脂酵母の特徴的な油脂生産(合成・分解・蓄積)については分子レベルで明確にされておらず、産業化へ向けた応用用途への活用する基礎的な知見が少ない。そこで前年度は油脂生産メカニズム解明の糸口となる油脂蓄積変異株を取得し、その油脂蓄積性の解析を行った。 油脂の主要成分のトリアシルグリセロール(TAG)の合成には、アシルCoA合成経路とグリセロール-3-リン酸 (G3P)からTAGまでのケネディ経路の2つの経路が重要である。そこで本年度は、前年度に取得した油脂酵母L. starkeyi油脂高蓄積変異株3株(HA1, HA2, HA3)、油脂低蓄積変異株2株 (LA1, LA2)、及びコントロールの野生株を培養し、経時的にアシルCoA合成経路及びケネディ経路に関与する遺伝子の発現比較解析を行った。その結果、油脂高蓄積変異株のアシルCoA合成経路に関与する遺伝子の発現は、野生株よりも向上しており、さらに油脂低蓄積変異株のアシルCoA合成経路に関与する遺伝子の発現は、野生株よりも低下していたことから、アシルCoA合成経路に関与する遺伝子は、油脂合成に関与する重要な遺伝子であることが明らかとなった。 また、油脂高蓄積変異株のゲノム比較解析による油脂生産に関する重要遺伝子の探索も行っており、現在、原因遺伝子の絞り込みを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であった油脂蓄積変異株の発現比較解析による油脂合成重要遺伝子の抽出ができ、さらにその重要遺伝子の情報を獲得するためにゲノム比較解析を行っているところであり、ほぼ当初計画通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方向性として、 ・アシルCoA合成経路に関与する遺伝子の発現を、経時的に調査し、より詳細に解析を行う ・ゲノム比較解析により抽出された変異遺伝子の中から、油脂生産に影響を与えた原因遺伝子の絞り込みを行い、原因遺伝子を同定する ・油脂生産に関与する重要遺伝子を宿主に導入し、改変することにより、油脂の生産性の向上に関与するか、検証を行う
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Causes of Carryover |
2019~2020年度に計画しているゲノム比較解析のためのゲノムシーケンス解析が終了していない株があるためであり、最終年度に行う予定である。
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