2021 Fiscal Year Annual Research Report
Could "Ktedonobacteria" be a new group of useful bacteria comparable to actinomycetes?
Project/Area Number |
18K05406
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢部 修平 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60564838)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クテドノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、創薬資源である「放線菌」に由来する新規抗菌薬の発見頻度が急減するなか、次の世代の有用菌群と成り得る新奇系統「クテドノバクテリア(綱)」が発見された。本研究は、この生物資源の拡充と有用性の評価を目的としている。 昨年度までに、火山地帯の堆積物などから純粋分離されたクテドノバクテリア菌群の分類学的特徴を解明して、2新科、3新属、11新種を創設した。 今年度は、クテドノバクテリアの集積培養装置の開発に取り組んだ。本系統の多くが火山性ガスであるH2やCOガスの好気的エネルギー代謝に関わる酵素遺伝子(hyy、cox)のオペロンを持つ特徴に基づき、火山環境を模した培養装置を製作した。即ち、火山性ガスを想定したガス(O2/CO/H2/CO2/N2=1/1/1/10/87 % [v/v])を、各種センサーにより濃度をモニターしつつ、溶岩風化物を充填した培養カラム内で循環させるシステムである。この装置に、あらかじめ本系統の存在を確認した蔵王山土壌を供試し、室温で6週間培養後、培養前後の試料から直接抽出した環境DNAを用いて16Sアンプリコン法により菌叢を解析した。その結果、培養前後で菌叢は大きく変化したが、クテドノバクテリアを選択的に集積培養する効果は認められなった。しかし、集積前の蔵王山土壌においては全く検出されなかったCandidatus Phyla Radiation(CPR群)と呼ばれる未培養の系統群の1つPatescibacteriaが、集積後には優占菌群(23%)となる興味深い現象を見出した。CPR群は巨大な系統群であるにも拘らず未だ培養に成功していない培養学的知見が皆無の系統であり、培養化が期待されている。この成果は、開発した培養装置がCPR群の集積培養に有効である可能性を示唆しているが、さらなる検証が必要である。
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