2020 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of newly idenfied glucose responsive system involving protein acetylation in bacteria
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18K05415
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小倉 光雄 東海大学, 海洋研究所, 教授 (80204163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Flowcytometry測定 / アルギニン残基リン酸化 / タンパク質分解酵素ClpCP / グルコース誘導 / タンパク質安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) フルクトース代謝系遺伝子frlBの集団中における不均一な発現について、flowcytometry測定をそれぞれ3回以上実行した。また、frlB発現に対するylxR遺伝子破壊の影響を転写fusionと翻訳fusionについて検討したところ、YlxRはfrlBの転写と翻訳に対して独立に影響することを見出した。これらの現象については2020年度に論文として報告した。
2)ylxR 遺伝子のグルコース誘導機構を解析するために、transposon挿入変異株ライブラリを作成し、グルコース誘導が起きない変異株を寒天平板上で検索した。その結果、複数の変異株を得ることができた。しかし、液体培養でも効果を観察できた変異株は1種類だけであって、その株についてtransposon挿入部位を決定したところ、タンパク質のリン酸化されたアルギニン残基からリン酸を脱離させる酵素の遺伝子ywlEが破壊されていた。タンパク質のアルギニン残基リン酸化は、タンパク質分解酵素ClpCPの認識タグとして機能することが最近明らかにされていて、アルギニン残基がリン酸化される標的タンパク質の網羅的解析も複数論文で報告されている。YlxRを含むグルコースに反応するフィードバック制御回路の構成要素では、TsaDとPdhDのアルギニン残基がリン酸化されることが知られている。そこで、アルギニン残基リン酸化とClpCPによる分解について、 TsaD-FLAGとPdhD-Hisを作成し、各種破壊株条件下でのタンパク質安定性を解析した。その結果、主としてTsaDの安定性をYwlEが制御することで、ylxR 遺伝子がグルコース誘導を受けることが判明した。しかもywlE遺伝子の発現もグルコースで誘導されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度より実施しているfrlB遺伝子の不均一発現についての論文を発表した。ylxR遺伝子のグルコース誘導機構の主要なメカニズムとして、タンパク質のリン酸化アルギニン残基の脱リン酸化酵素YwlEの関与を同定し、これについても論文としてまとめた。また、ywlE遺伝子のグルコース誘導という、新たな探索の標的となる現象を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年のmSphere論文で見出したYlxRの標的遺伝子は、ylxR破壊による発現変動幅が3倍以上の基準で、正負合わせて400を超えるが、負の代表的な遺伝子frlBについては、ひとまず解析を終えた。そこで、正の代表的な遺伝子であるプロリン生合成遺伝子proBAについて解析する。具体的には、proBAのグルコース誘導がなくなる変異株をtransposon挿入変異株ライブラリーから検索し、得られる遺伝子についてproBAのグルコース誘導との関わりを解析する。
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Causes of Carryover |
グルコース誘導とylxRの関わりについて研究し、proBA遺伝子のグルコース誘導についても研究を展開する必要を感じたため。次年度使用額については、主として消耗品の購入に充てる予定である。
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Remarks |
枯草菌の新たな核様体結合性因子YlxRの制御遺伝子のNGSによる探索 小倉光雄、兼崎友、静岡大学グリーン科学技術研究所共同利用機器セミナー 2021/3開催
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