2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the biosynthesis of two types of galactomannan localized at the surface layer of the cell wall of pathogenic fungi
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18K05418
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (50510690)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糸状菌 / 細胞壁 / 糖転移酵素 / 糖鎖 / ガラクトマンナン / アスペルギルス / 感染症 / ガラクトフラノース |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌の細胞壁を覆う真菌型ガラクトマンナン (FTGM) のマンナン主鎖の生合成を担う遺伝子と酵素の同定を試みた。研究代表者らは、これまでにGfsAがFTGM中のガラクトフラン側鎖の生合成を担うβ-1,5-ガラクトフラノース転移酵素であることを明らかにしてきた。しかし、FTGM中のマンナン主鎖の生合成を担う酵素は不明であった。今年度は、マンナン主鎖生合成に関わることが推定される2つのマンノース転移酵素遺伝子(cmsAおよびcmsB)の機能解析を進め、CmsAおよびCmsBが病原性糸状菌Aspergillus fumigatusにおけるマンナン主鎖生合成酵素であることを明らかにすることを目的とした。cmsA及びcmsBの遺伝子破壊株よりFTGMを抽出し、NMRによる構造解析を行ったところ、cmsAおよびcmsB遺伝子破壊株由来のFTGMではマンナン主鎖構造が失われていた。また、組換え酵素CmsAはGDP-マンノースを糖供与体として非還元末端のマンノース残基の2位の水酸基にマンノースを転移する酵素活性を有していた。CmsAはパラニトロフェノール- α-マンノース、α-(1→2)-マンノビオースおよび α-(1→6)-マンノビオースを受容基質とすることができ、 α-(1→6)-マンノビオースに対する比活性はα-(1→2)-マンノビオースに対する比活性の31倍であった。以上のことから、CmsAおよびCmsBはFTGMのマンナン主鎖の生合成を担うα-(1→2)-マンノース転移酵素であることを明らかにすることができた。cmsA及びcmsBの遺伝子破壊株は、菌糸伸長速度および分生子形成能が著しく低下していた。菌糸を観察すると菌糸が膨潤した構造が高頻度に観察された。このことは、FTGMのマンナン主鎖が糸状菌の正常な細胞壁形成や分化に必要不可欠な多糖であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、機能未解明なgfsAの7つのパラログ(gfsB-H)およびGM生合成に関わると考えている4つのマンノース転移酵素遺伝子(cmsA, cmsB, ktr2およびktr5)の機能解析を進めている。今年度は、cmsAおよびcmsBがFTGMのマンナン主鎖生合成を担う酵素をコードする遺伝子であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、機能未解明な推定ガラクトフラノース転移酵素であるgfsAの7つのパラログ(gfsB-H)およびGM生合成に関わると考えている2つのマンノース転移酵素遺伝子(ktr2, ktr5)の機能解析を進めていくことでGMの生合成の全貌を明らかにしていく。また、CmsAやGfsAの立体構造も明らかにしていく。立体構造を明らかにすることで阻害剤のスクリーニングも可能となると考えている。
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Research Products
(10 results)