2018 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of a new ability of Lactobacillus to exploit adjacent-possible ecological niche
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18K05419
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
水野 康平 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (80342583)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / ラクトバシラス / 共培養 / プラスミド / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳酸菌の1種ラクトバシラスは、腸管において常にサブ・ポピュレーション(0.1~数%)であり、優勢化することはないが、乳酸や抗菌性物質を生産して菌叢全体を安定化させて、有害菌の侵入を防ぐ例が知られている。申請者らは、ある種のラクトバシラスが、貧栄養条件下で隣接する大腸菌細胞とマイクロ共凝集体を形成して効率的に増殖する現象を発見した。この乳酸菌と大腸菌の新しい相互作用のメカニズムを解明することを目的として、研究を開始した。まず、乳酸菌への遺伝子組み換え系の構築を行った。所有株のうち、大腸菌との共培養能力を有する株へのプラスミドの形質転換に成功した。また、乳酸菌以外のグラム陽性菌、特に遺伝組み換えの容易な株を用いて、共培養実験を行って、乳酸菌以外でも同じ現象を検索できるような系の構築を行った。 また、1ヶ月以上の長期培養により生じる変異体コロニーは増殖が遅く通常より小さい。液体培養時の細胞形態も変化しており、変化は不可逆でリッチな乳酸菌専用培地で培養しても形態は戻らない。この変異は大腸菌との共培養系に高頻度で出現することから、共培養系形成メカニズムに関与する変異である可能性があり、これをゲノム解析によって検討を開始した。いくつかの株を選抜してゲノム解析を行った。次世代シーケンスを用いて得られたデータの解析について、連携研究者の協力を得て、解析系を構築した。もし、細胞の小型化がいわゆるSCV(Samll Colony Variant)ならば、どのようなメカニズムでなるか興味深い。なぜなら、通常、SCVを引き起こす主な因子として挙げれられるのは呼吸鎖だからであるが、乳酸菌はそもそも呼吸鎖とそれに必要なヘム合成能を有さないからである。この点は、乳酸菌に限らないグラム陽性菌に共通するSCVメカニズムへ到達する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳酸菌の形質転換が予想以上に困難であった。一度挿入されたプラスミドが脱落などして不安定であることが主な原因であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
共培養は、これまで<ラクトバシラス=大腸菌>で行ってきた。しかし、その組み合わせを変更して、共培養系に普遍的に存在する可能性のあるメカニズムに迫るアプローチを検討している。その一つに、乳酸菌の類縁株であるバチルスを用いるという方法を模索している。バチルスでは、形質転換が容易であり、バチルスへラクトバチルスのゲノム断片を導入できれば、ラクトバチルスに依存しない系で、ラクトバチルスの遺伝的形質をトレースできる可能性があるからである。
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Causes of Carryover |
当初計画した旅費150,000円及び物品消耗品が多少及ばなかったため。来年度、消耗品と旅費として使用する計画である。
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Remarks |
筑波大学医学セミナーで講演
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