2019 Fiscal Year Research-status Report
黄色ブドウ球菌感染時に活性化し皮膚菌叢を健全化する脂質の酵素・微生物生産法の検討
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18K05426
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
永尾 寿浩 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (30416309)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚細菌叢 / Staphylococcus aureus / S. epidermidis / 抗菌活性 / パルミトレイン酸 / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは多数の微生物と共生し、それらは健康に寄与する微生物、疾病に関与する微生物などに分類できる。本研究は皮膚の細菌(皮膚細菌叢)を対象とする。 アトピー性皮膚炎では、顕著に増加するStaphylococcus aureusが炎症悪化に関与する。一方、健常者ではS. epidermidis が多く存在し、種々の有益作用(S. aureusの生育抑制など)を保持する。皮脂中にはサピエン酸(6-cis-C16:1, SA)が存在し、健常者ではSAがS. aureusの生育を抑制しS. epidermidis の生育を抑制しないことにより健全な皮膚細菌叢が維持される。しかし、アトピー性皮膚炎ではSA含量が約1/10に減少してS. aureusが増加する。 本研究では、天然油脂中にないSAと同等の抗菌活性を持つ天然油脂中のパルミトレイン酸(9-cis-C16:1, PoA)を、酵素・微生物法でPoA結合リン脂質に変換する方法を検討する。このリン脂質は、健常時は抗菌活性がない。一方、S. aureusだけがホスフォリパーゼを発現することから、S. aureus感染時のみこのリン脂質が活性型のPoAに変換され、皮膚細菌叢が健全化されるという特徴がある。 PoA結合リン脂質の合成には大豆や卵黄リン脂質(レシチンともいう)を基質とするが、本年度は、そのリン脂質を構成する脂肪酸がPoAの抗菌活性を妨害しないかどうかを検討した。その結果、大豆や卵黄レシチンを構成するオレイン酸は、S. aureusに対するPoAの抗菌活性を強く妨害し、リノール酸は一部のS. aureus株に対する抗菌活性を妨害したが、パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸は抗菌活性を妨害しなかった。従って、大豆や卵黄レシチンを水素添加して飽和脂肪酸に変換した水添レシチンを基質とする必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は大豆や卵黄レシチンを基質としてPoA結合リン脂質を合成する予定であったが、大豆や卵黄レシチンを構成する脂肪酸が抗菌活性を妨害することが判明し、そのことを調べるために、本来の目的であるPoA結合リン脂質の合成の開始が2020年度にずれ込んでしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
リン脂質中の脂肪酸をエステル変換する先行研究として、DHAをエステル交換させた研究がある。細川らは、グリセリンとホルムアルデヒド存在下でPLA2を作用させ、岩崎らはグリセリンとグリシン存在下でPLA2を作用させた研究を発表している。まずはその論文を参考として、水添レシチンにPoAをエステル交換させることを試みる。
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Causes of Carryover |
本研究の重要な部分である、PoA結合リン脂質の合成の開始が2020年度にずれ込んでしまったため。
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Research Products
(8 results)