2018 Fiscal Year Research-status Report
Identification of roles of PRMT8 with dual catalytic activity in the brain
Project/Area Number |
18K05429
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金 俊達 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (90570036)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | PRMT8 / メチル化酵素 / リン脂質加水分解酵素 / 1塩基置換マウス / 神経細胞の樹状突起形成 / アセチルコリンの産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の発達や高度に調節される神経伝達物質のバランスには、細胞膜を構成するリン脂質であるホスファチジルコリンがリン脂質加水分解酵素(PLase)によって水解される事が重要である。申請者らは、PRMT8がメチル化酵素活性(MTase)に加え、長年の間、小脳では未知であった新規のリン脂質分解酵素活性(PLase)として、神経細胞の樹状突起形成やアセチルコリンの産生にPRMT8の働きが必須であることを見出した。 平成30年度は、PRMT8か有する一酵素二活性の生物学的意義の解明のため、二つの酵素活(MTase・PLase)に対する不活性化マウスの作製を試みた。申請者らはすでに、PRMT8のMTaseおよびPLaseの活性中心の配列に点変異を導入し、互いの酵素活性には影響がない変異体の作製に成功した。そこで、MTaseとPLase特異的不活性マウスをゲノム編集(CRISPR/Cas9 system)を用いて、1塩基を置換して不活性マウスを樹立した。興味深い事に、ホモマウスが得られたMTase不活性マウスに対して、これまでにPLase不活性マウスは胎生致死を示す結果を見出した。現在よりPLase不活性マウスは、ヘテロ妊娠マウスを用いて致死となる時期について詳細な解析を進めている。 また、PRMT8の欠損マウスの大脳と小脳を用いたメチル化代謝産物やリン脂質代謝産物を解析した結果、PRMT8の MTase活性は大脳に、PLaseの活性は小脳で特異的に働く可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRMT8が有する一酵素二活性の生物学的意義を理解するためには、互いの酵素活性には影響がない変異を加えたマウスの作製が重要である。現在までにPRMT8のメチル化酵素(MTase)およびリン脂質分解酵素(PLase)の活性中心の配列に点変異を導入した不活性マウスの作製に成功した。さらに、PLase不活性マウスが胎生致死を示す結果から、生体内のリン脂質代謝におけるPRMT8が有するPLase活性の重要性が示唆された。従って、PRMT8の二活性は神経細胞の発達や、 脳機能の制御に重要な役割を果たしている可能性を示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の結果を受け、平成31年度は、これまでにPRMT8のPLase不活性マウスが胎生致死を示す結果から、ヘテロ妊娠マウスを用いて致死となる時期について詳細な解析を進めるとともに、胎児を用いたメチル化代謝産物やリン脂質代謝産物の解析を行う。また、樹立したPRMT8のMTase不活性マウスについては、メチル化代謝産物を評価や神経細胞の発達や 脳機能の解析を行い、PRMT8が有する一酵素二活性の生物学的意義の解明を目指す。
|