2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of protein synthesis via reversible tRNA modification, cyclic t6A
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18K05430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮内 健常 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (50771292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | cyclic t6A / TcdA / tRNA修飾 / 硫黄転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
t6AはtRNAの37位に存在し、タンパク質合成の信頼性を保つために不可欠なRNA修飾である。大腸菌や植物ではt6Aがさらに修飾酵素TcdAにより、脱水環化されたcyclic t6A (ct6A)に変換される。ct6Aは反応性のヒダントイン環を持ち、細胞内で徐々に加水分解されてt6Aに戻ることが観察され、ct6Aは真に可逆的なRNA修飾だと判明した。この可逆性によりct6Aの修飾率はダイナミックな変動を起こすと予想される。さらに、ct6Aの生合成には硫黄の転移が必須である。本研究ではこの成果を発展させ、ct6Aが修飾率変動を起こす条件を探索し、硫黄や炭素源の代謝との関連性について明らかにする。 本年度は引き続き硫黄転移がct6A 合成反応に関わる分子機構を中心に研究を行った。in vitro再構成実験からt6Aのチオカルボキシ体(t6A-COSH, st6A)が生成していることが判明した。st6Aは非常に不安定でチオシアン酸や弱酸性で処理すると急速にct6Aとt6Aに変換されてしまう。できるだけ分解しない条件で大腸菌からRNAを抽出する多くのst6Aが検出された。[35S]Cysを用いた再構成実験でst6Aが蓄積し続けたこと、st6AをさらにTcdAで反応させてもct6Aが生じなかったことから、st6Aこそが真の生成物である可能性が浮上した。これは多くの硫黄転移を起こすE1様酵素と同じ反応機構である。その後化学的に分子内縮合が起こり、st6Aがct6Aに変換されると考えられる。st6Aは非常に不安定であるため現時点では定量が困難であるため、条件を見直し細胞内のst6A, ct6Aの割合を測定できる系を構築中である。st6Aの割合が非常に大きかった場合、tRNAの機能に対して何らかの役割を持つと考えられ、その解明は今後の課題である。
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