Structural basis of a plant vacuolar proton pump.

2020 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18K05431
• Research Institution: Kanagawa Institute of Industrial Sclence and Technology
• Principal Investigator: 三村 久敏 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 人工細胞膜システムグループ, 研究員(任期有) (30463904)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 植物 / 液胞膜 / 膜タンパク質 / プロトンポンプ / X線結晶解析

Outline of Annual Research Achievements

膜タンパク質である植物液胞膜のプロトン輸送性ピロリン酸分解酵素（H+-PPase）は、ピロリン酸（PPi）の分解とプロトン（H+）の能動輸送を行うプロトンポンプである。植物液胞膜H+-PPaseは、植物細胞内のPPiホメオスタシスと、物質の貯蔵庫である液胞の酸性化において重要な役割を果たすことが知られている。核酸やタンパク質の生合成、脂質の代謝等で副産物として生じるPPiの蓄積は、これらの反応を阻害することに繋がるため、PPiの濃度調節は細胞にとって重要である。植物液胞において、H+-PPaseはV-ATPaseと協働で液胞膜を介したH+勾配を形成し、液胞の貯蔵機能で中心的な役割を果たす様々な二次輸送体にH+駆動力を供給する。本研究では、植物液胞膜H+-PPaseの未だ立体構造が明らかになっていない基本的な2つの生理的条件下でのX線結晶構造を決定し、H+-PPaseの酵素反応サイクルモデルの構造基盤を確立することを目的としている。これまでに、これら2つの生理的条件下でのX線結晶解析に取り組み、そのうちの1つについて膜タンパク質としては比較的高分解能で立体構造を決定することに成功した。得られた結晶構造の構造解析計算を行い、立体構造モデルを解釈することにより、それに基づいた機能メカニズムの理解を推し進めた。最終年度となる本年度は、得られた成果を広く公表するため、論文作成の準備を進めている。