2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜透過性阻害剤を利用した局所的RNA脱メチル化反応の解析
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18K05435
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 芳江 京都大学, 高等研究院, 研究員 (90423095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RNAの脱メチル化 / 阻害剤 / 細胞膜透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の発生や機能発現のためには適切な遺伝子発現制御が不可欠であり、エピジェネティクスに加えてRNAの転写後修飾(エピトランスクリプトミクス)が重要 な要素として注目されている。神経細胞は複雑なネットワークを形成して様々な入力に応答するうえで遺伝子発現を時空間的に制御しなくてはならず、RNA修飾 による局所的翻訳の調節機構の研究が進められている。mRNAに最も豊富に存在するN6-メチルアデノシン(m6A)は可逆的な修飾で、これまでにm6Aによる翻訳調節 についての報告があるが、神経突起にはメチル化酵素・脱メチル化酵素の両方ともが存在している。そこで脱メチル化反応が局所的翻訳へ寄与しているのかどう かを、阻害剤を利用して解析することを計画した。 mRNAに対するm6A脱メチル化酵素は2種類存在するため、基質特異性が明確で、かつ細胞透過性のある阻害剤の取得が本研究には必須である。 今年度は昨年度のスクリーニング結果から抽出した候補化合物についての評価を行った。IC50を求めることで特異性を評価するとともに、これらが脱メチル化酵素のどこに結合しているかをシミュレーションし、特異性をより向上させるための情報を得た。阻害活性を示す化合物の報告状況を反映して、FTOへの阻害活性がALKBH5に対する活性よりも高いものの方が多く見つかった。それと並行して昨年度に引き続き候補化合物のスクリーニングも進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さらなる改良が望まれる状態ではあるが、阻害剤取得へ向けて進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
m6A脱メチル化酵素それぞれへの特異性がより高い化合物を得ることを目指す一方で、既報の化合物を上回る性質をもつ化合物の取得が間に合わない可能性も考えられるため、次善策として想定していた、既報の化合物の利用も視野に入れて、細胞を用いた形態観察を行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
スクリーニングのための化合物の購入と合成に物品費の大半をあてる予定にしていたが、連携研究者の協力によってその費用が大幅に削減された。その結果、共通機器利用料の支出も少なくなったため。 未使用額は今年度の化合物(単品、ライフラリー)購入や、化合物合成のための試薬および細胞培養試薬、共通機器利用料にあてる。
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