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2019 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of regulatory mechanisms of secretion of intestinal peptides using C. elegans

Research Project

Project/Area Number 18K05436
Research InstitutionTottori University

Principal Investigator

河野 強  鳥取大学, 農学部, 教授 (50270567)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
KeywordsC. elegans / 腸ペプチド / インスリン / 分泌極性 / 幼虫休眠
Outline of Annual Research Achievements

報告者は最近、腸で産生され線虫の休眠・寿命を制御するインスリン様ペプチドが、生育環境に呼応して分泌方向を可逆的に変動すること(新規現象)を見出した。本研究では、このインスリン様ペプチドをモデルとして、個体レベルで腸ペプチドの分泌極性制御因子を探索し、その機能解析を行うことを通じて、 腸ペプチドの未知なる分泌制御機構を明らかにすることを目的とする。
本年度は、昨年度に構築した腸ペプチド分泌検出モデルを用いたRNAiスクリーニングより同定したrab-6.2遺伝子ならびにrab-18遺伝子の分子遺伝学的機能解析を行った。
Rab-6.2は腸ペプチドINS-35のみならず頭部神経細胞ASIで産生されるインスリン様ペプチドDAF-28の分泌も制御することを明らかにした。一方、同じくASIで産生されるTGF-β様タンパクDAF-7の分泌制御には関与しなかった。以上の結果から、Rab-6.2は腸ならびに頭部神経細胞においてインスリン様ペプチド特異的な分泌制御に関わると推定した。
また、ヒトの疾病ワールブルグ・ミクロ症候群に関与するRab-18は、線虫では腸特異的に機能することにより幼虫休眠制御に関与することを明らかにした。Rab-18はINS-35の分泌制御のみならず、コレステロール類のトランスポーターNCR-1(ヒトのリソソーム病であるニーマンピック病C型に関与)の膜輸送に関与することを明らかにした。Rab-18は腸ペプチドINS-35ならびに腸で機能するコレステロールトランスポーターの膜輸送に関与することにより幼虫休眠制御に与る、と結論づけた。この結果により、Rab-18/NCR-1制御システムは動物種で共通であり、線虫では腸を介した休眠制御に、ヒトでは神経疾患に関与すると推定された。モデル生物・線虫 C. elegansを用いた研究がヒトの疾病メカニズムの解明に繋がる好例になるのではないかと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、昨年度に同定したメンブラントラフィック遺伝子rab-6.2ならびにrab-18の詳細な機能解析を予定通り行った。
発現パターンの解析により、rab-6.2は腸のみならず頭部神経細胞ASIでも発現しており、それぞれの細胞でインスリン様ペプチドINS-35、DAF-28の分泌制御に関与していることを明らかにした。また、Rab-6.2の分泌制御はインスリン様ペプチド特異的であり、その制御機構は非常に興味深い。ほぼ期待通りの研究展開を成し遂げたと考えている。更なる解析を進め、学術雑誌に投稿する予定である。
rab-18は腸特異的に発現しており、腸ペプチドINS-35の分泌制御に関わることを明らかにした。予想に反して、Rab-18は腸で発現するコレステロール類トランスポーターNCR-1の膜輸送にも関与していた。Rab-18欠損によりNCR-1は細胞膜へ輸送されず、予備的な実験結果としては分解を承けているように見受けられた。Rab-18ならびにNCR-1はヒトでは神経疾患を伴うリソソーム病に関与することが知られている。本研究成果はその疾病メカニズムに迫るものであると考えられる。この予想を超えた研究展開に更なる解析を加え、学術雑誌に投稿する予定である。
一方、順遺伝学的手法を用いた分泌制御遺伝子の解析はやや遅れており、総合的に判断して「おおむね順調に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

令和3年度が最終年度となる。令和2年度までの研究成果を踏まえ、本研究によって得られた学術的知見を学術論文として公表する。
まず、Rab-6.2ならびにRab-18が如何にしてメンブラントラフィックに関与するか、そのメカニズムを解析する。融合タンパクVENUS::Rab-6.2ならびにINS-35::mRFPを共発現する線虫を作出し、分泌小胞に於ける共局在の有無を確認する。さらに、Rab-6.2がインスリン様分子特異的に機能することを検証するために、VENUS::Rab-6.2ならびにDAF-7::mCherryを共発現する線虫を作出し、分泌小胞に於ける共局在の有無を確認する。すなわち、Rab-6.2の分泌小胞特異性を検証する。以上の研究結果をまとめて、学術論文を投稿する予定である。
次いで、腸におけるRab-18のINS-35, NCR-1制御メカニズムを解析するために、VENUS::Rab-18ならびにINS-35::mRFP, VENUS::Rab-18ならびにNCR-1::mRFPを共発現する線虫を作出し、分泌小胞に於ける共局在の有無を確認する。以上の研究結果をまとめて、学術論文を投稿する予定である。
さらに、RNAiスクリーニングで同定したrab-19遺伝子について同様の分子遺伝学的解析(発現パターン解析・エピスタシス解析・標的分子との共局在の検証)を行う。
以上の研究により、腸に於けるペプチド・タンパクの詳細な分泌制御機構、さらには、腸と頭部神経細胞に於ける分泌制御の共通点・相違点などを明らかにすることができる、と考えている。ヒトにも共通するRabファミリータンパクの分泌制御機構が明らかになることを期待している。

Causes of Carryover

ほぼ予定通りに経費を歳出したが、僅かばかりの残金(818円)を令和2年度の消耗品費として使用する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] Involvement of Spermidine in the Reduced Lifespan of Caenorhabditis elegans During Vitamin B12 Deficiency2019

    • Author(s)
      Bito T, Okamoto N, Otsuka K, Yabuta Y, Arima J, Kawano T, Watanabe F
    • Journal Title

      Metabolites

      Volume: 192 Pages: 1-15

    • DOI

      10.3390/metabo9090192

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 線虫C. elegansの幼虫休眠を制御する短鎖神経ペプチド FLP-6の機能解析2020

    • Author(s)
      荒井千佳子、堀 結佳、小野真弘、松永洋平、岩﨑 崇、河野 強
    • Organizer
      2020年度日本農芸化学会
  • [Presentation] 線虫C. elegansの幼虫休眠を制御する短鎖神経ペプチド受容体FRPR-4の解析2020

    • Author(s)
      小野真弘、松永洋平、美藤友博、岩﨑 崇、河野 強
    • Organizer
      2020年度日本農芸化学会
  • [Presentation] 線虫C. elegansの幼虫休眠を制御するRabファミリータンパクの探索と機能解析2019

    • Author(s)
      粟津利邦、松永洋平、松浦雅実、岩﨑 崇、河野 強
    • Organizer
      日本農芸化学会西日本支部・中四国支部 合同年会
  • [Presentation] 線虫C. elegansの幼虫休眠を制御する短鎖神経ペプチド FLP-2の機能解析2019

    • Author(s)
      影山なつみ、松永洋平、国松友香、岩﨑 崇、河野 強
    • Organizer
      日本農芸化学会西日本支部・中四国支部 合同年会
  • [Presentation] 線虫C. elegansの幼虫休眠を制御する短鎖神経ペプチド受容体の探索2019

    • Author(s)
      小野真弘、松永洋平、岩﨑 崇、河野 強
    • Organizer
      日本農芸化学会西日本支部・中四国支部 合同年会

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Published: 2021-01-27  

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