2018 Fiscal Year Research-status Report
内分泌細胞の酸素応答とホルモン生合成・分泌制御のクロストークを解明する
Project/Area Number |
18K05443
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
穂坂 正博 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80311603)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 内分泌細胞 / プロセッシング酵素 / ペプチドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
内分泌細胞で、ペプチドホルモンや多くの生理活性ペプチドは、まず分子量の大きな前駆体として粗面小胞体で合成され、トランスゴルジネットワーク(TGN)まで輸送される過程で、順次、シグナルペプチドの除去、S-S結合の形成、糖鎖付加などの修飾を受ける。その後、分泌顆粒に選択的に輸送されたホルモン前駆体(プロホルモン)は、顆粒中でプロホルモン活性化酵素(prohormone-converting enzyme; PC1/3, PC2 など)による塩基性アミノ酸対の切断、カルボキシペプチダーゼE(Carboxypeptidase E; CPE)による末端塩基性アミノ酸の除去、N末端アセチル化、C末端アミド化と云ったプロセッシングを受け、活性を持つ成熟型ホルモンとなり細胞外に分泌される。通常、分子量の大きなプロホルモンは生理活性を欠き、プロセッシングなど翻訳後修飾を受け、はじめて活性のある成熟型ホルモンとなる。 生体は肺で大気(21%酸素濃度 = 160 mmHg 酸素分圧)を吸い、肺胞でヘモグロビンを介して血中に酸素を取り込む。取り込まれた酸素は血流で全身の細胞に分配され、全身の細胞は酸素を使ってATPを作り生命現象を維持している。生体内の酸素濃度は動脈血で13% (100 mmHg) 程度、静脈血で5%程度、組織中の酸素濃度では 3.6-12.8%と報告されている。 本研究では生理的酸素濃度下でのホルモン分泌能を調べるために、マウス脳下垂体と膵島組織およびその細胞株を種々の酸素濃度(1, 5, 7.5, 10, 15, 21%)で培養したところ、10%酸素濃度下でPC1/3, PC2, CPEの発現が亢進し、成熟型ホルモンの細胞内貯蔵量と分泌が最大値となることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、マウス脳下垂体と膵島の内分泌組織およびその細胞株を種々の酸素濃度(1, 5, 7.5, 10, 15, 21%)で培養したところ、10%酸素濃度下でPC1/3, PC2, CPEの発現が亢進し、成熟型ホルモンの細胞内貯蔵量と分泌が最大値となることを検証して論文投稿した。
|
Strategy for Future Research Activity |
21%,10%酸素濃度で培養した内分泌細胞からRNAを抽出し、10%酸素培養において有意に発現が増強あるいは減弱する遺伝子をDNAマイクロアレイで網羅的に同定し、ノーザンブロット、ウエスタンブロットで検証したのち、その機能を解析する。
|
Research Products
(5 results)